公開日:2018.12.19

冬の睡眠の質を高める、すぐできる簡単な方法

冬の睡眠の質を高める、すぐできる簡単な方法

冬の睡眠の質を高める、すぐできる簡単な方法

冬の朝、目覚めがすっきりしなかったり、疲れが残っていたり、ありませんか? 冬は、無意識の中で、睡眠の質が低下していることがあります。ある実験結果では、布団の1か所を暖めることで、冬の睡眠の質の向上を図れると示しています。ここでは、布団のどこを暖めると、効果的に睡眠の質を高め、ぐっすり安眠できるのか、と、その根拠を、お伝えします。

目次

冬、睡眠の質を高めるために、暖めるべく寝具の場所とは

布団の1か所を暖めることで、睡眠の質を、効率的に、高められるとされています。

その場所は、敷き布団やベッドの、足のあたりです。

具体的な場所は、足からふくらはぎが、敷き寝具と触れる場所です。

冬は、足のあたりだけ、暖める工夫をなさることをおすすめします。寒い季節も、ぐっすりとお休みいただけます。

足元を暖める具体的な方法は、次の項目でお伝えします。

足元だけ暖めるのが効果的、とお伝えする、根拠につきましては、この記事の最後に、まとめてお伝えします。

寝具の一部を暖める具体的な方法

敷き布団や、ベッドの足元だけでも、暖めるって、具体的にはどこ? どんなふうに? と思われる方もいらっしゃるでしょう。

敷き寝具を暖める、具体的な場所は、足からふくらはぎが、敷き寝具と触れる場所です。

足元だけ暖める、具体的な方法としては、

  • 湯たんぽで、足元を暖める
  • 足元のあたりだけ、毛布を敷く
  • 電気敷き毛布、電気ひざ掛け毛布、電気毛布を、足の部分だけ使う
  • 布団乾燥機を、足元のあたりが暖まるように使う
  • ドクターセラ温熱マットスリープコンディショナーなどの温熱治療タイプパッドを足部保温設定で使う

などです。とっても簡単で、すぐにできることもありますよね。

足元だけ、毛布を敷く場合は、毛布を足の部分がポケットになるように折って使ったり、敷き布団やベッドマットを包むようにして使ったりします。

足元用に使う、毛布の素材で気をつけたい点

毛布を選ぶ際には、気をつけたい点があります。

  1. 吸湿性の低い、化学繊維、たとえば、フリース素材やアクリル系の素材をなるべく避けること
  2. 電気毛布や電気敷き毛布は、入眠時には、スイッチをオフにすること

です。

1.吸湿性の低い、化学繊維、たとえば、フリース素材やアクリル系の素材をなるべく避けましょう

足元に毛布を敷く場合、おすすめの素材は、ウールやキャメル、シルク、綿毛布などの吸湿性のある、天然素材がおすすめです。

フリース、ポリエステルやアクリルのニューマイヤーなど化学繊維の毛布は、汗の吸湿性が低いのでおすすめしません。理由は、足にかいた汗が、吸湿性の低い化学繊維に付着し、時間の経過とともに、その湿気が冷たい水滴となって、足を冷やしてしまうからです。

足を暖めることで、効果的に、安眠をするつもりが、逆に、足を冷やして、眠りの妨げになってしまいます。

2.電気毛布や電気敷き毛布は、入眠時には、スイッチをオフにしましょう

電気毛布や、電気敷き毛布、電気ひざ掛け毛布は、ベッドや布団に入る、30分から1時間ぐらい前にセットをします。入眠時には、必ず、スイッチを切って、眠るようにします。

スイッチが入ったままですと、布団の中の温度が高すぎてしまい、深い睡眠の妨げとなります。また、電気の熱で、肌やのどを乾燥させることもあります。

冬、朝までぐっすりと、安眠するためには、スイッチは、切るようにしましょう。

冬の睡眠の質の低下と、保温による睡眠の質の向上の根拠

ここからは、この記事の内容の根拠をお話します。お伝えするのは、次の2点です。

  1. 冬は無意識の中で、睡眠の質が低下していることがある
  2. 足元を暖めることで、安眠につながる

順にお伝えします。

1.冬は、無意識の中で、睡眠の質が低下していることがある、とする理由

冬は、睡眠の質の低下を実感される方は、あまりいらっしゃらないかもしれません。

実際には、冬、無意識の中で、睡眠の質が低下していることがあります。

理由は、ヒトが生きるために備えている、体温調節機能の働きに関係するとされています。

12月~3月、仙台市内、平均外気温2.1℃、最低外温度-7.4℃で、行われた、低温の環境時の、睡眠に関する実験結果を伝えた報文によると、

睡眠時の体温調節機能は覚醒時より低下し、レム睡眠ではノンレム睡眠よりも体温調節機能が低下する。したがって、低温環境ではレム睡眠を減少し、覚醒を増加することで体温調節機能を維持していると考えられる。

(水野、水野、松浦、松尾、岩田、城島、白川、マットレスとベッドパッドの素材の違いが低温環境での入眠過程に及ぼす影響、日本家政学会誌、Vol.67、No.7、367-374、2016)
 
と伝えています。

上記は、冬など、睡眠環境の気温が低くなると、睡眠中に適した体温を維持するために、レム睡眠を減少させ、覚醒が多くなる、つまり、気温の低さによって、眠りが浅くなったり、眠りの途中に目覚めてしまう時間が増える、としているのです。

ここで、レム睡眠、という言葉をご存じの方は、

「レム睡眠は、そもそも浅い眠りのことなので、減少しても、深い眠りの時間には影響しないのでは?」

と思う方もいらっしゃるでしょう。

レム睡眠の解明を進めている、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構、林研究室の林悠氏によると、

通常レム睡眠において、レム睡眠の持続時間が長いほど、その後のノンレム睡眠で余波が増加するという、有意な正の相関が認められた。 中略 レム睡眠は、余波を増強することで、睡眠そのものの質を高める作用があると考えられる。

(林悠、レム睡眠の意義の解明、https://www.astellas.com/jp/byoutai/other/reports_h25/pdf/25-34_hayashi.pdf )

と、伝えています。

上記の、

  • 余波、余波睡眠とは、睡眠の前半で発生する、ノンレム睡眠の中で一番深い睡眠

です。
 
先の、林氏の引用を要約すると、レム睡眠が、邪魔されることなく長く続くと、その後に続く、ノンレム睡眠の、余波睡眠が、増えることがわかったと、教えてくれています。余波睡眠が増えることで、睡眠の質も高まる、と伝えてくれているのです。

最初にお伝えしたこととつなげると、

  1. 睡眠環境の温度が下がると、ヒトの体温調節機能によって、体温を適度に保とうとする
  2. 体温を適度に保つために、睡眠時、レム睡眠が減少し、覚醒状態が増える
  3. レム睡眠が減少すると、ノンレム睡眠の中でも、一番深い睡眠の、余波睡眠に影響を与え、睡眠の質が低下する

ということになるのです。

これが、冬、低温環境で、無意識の中で、睡眠の質が低下する、とお伝えした理由です。

2.足元を暖めることで、安眠につながる、とする理由

次に、足元だけ暖めることで、低温環境でも、安眠につなげることになる、という根拠をお伝えします。

前出の、仙台市で実施された、冬の低温環境時の睡眠状況を調べる実験では、保温性の高いキャメルのベッドパッドと、保温性のあまりないポリエステルのベッドパッドを使用した場合を比べ、睡眠の質の違いを明らかにしています。

結果を伝える報文によると、キャメルのベッドパッドを使用した場合のほうが、ポリエステルのベッドパッドの使用時よりも、足部の寝床内温度、皮膚の温度、温冷感が、高く、その結果、レム睡眠に影響を与えた、と伝えています(水野他、マットレスとベッドパッドの素材の違いが低温環境での入眠家庭に及ぼす影響、日本家政学会誌、Vol.67、No.7、367-374、2016)。

特筆すべきは、同報文は、足部以外の、腰の下や胸の部分においては、キャメルのベッドパッドの使用時と、ポリエステルのベッドパッドの使用時でも、足部で見られたような、違いがなかった、と伝えている点です。

報文では、

ポリエステルのベッドパッド(条件 S)およびキャメルのマットレスとベッドパッド(条件 C )を比較した。 中略 睡眠脳波記録、皮膚温、寝床内気候、衣服内気候を測定し、温冷感、湿潤感、快適感や睡眠感等の主観申告を申告させた。条件 C で条件 S よりも優位に睡眠効率、睡眠時間、レム睡眠が増加し、覚醒が減少した。中略 低温環境でのマットレスとベッドパッドの素材の違いは、睡眠、足部の寝床内温度、および足の温冷感に影響を及ぼす可能性が示唆された。

(水野他、マットレスとベッドパッドの素材の違いが低温環境での入眠家庭に及ぼす影響、日本家政学会誌、Vol.67、No.7、367-374、2016)

と結論付けています。

つまり、腰や胸の部分を暖めることは、暖めない時と比べ、睡眠の質に差はないが、足部に、保温性の高い寝具を使うことで、レム睡眠が増加し、覚醒が減少した、と伝えているのです。

冬の睡眠の質の理由をお伝えした項目で、レム睡眠が増加することは、深い睡眠のノンレム睡眠、余波睡眠を長くし、睡眠の質を高める、と記しました。

まさに、足を暖めることで、睡眠の質を高める、との研究結果となるのです。

以上が、今回の記事をお伝えした根拠になります。

 
冬、暖かく眠り、睡眠の質を上げて、すっきりと目覚めたいという方、足のあたりだけ、暖めて、おやすみになってみてください。


ご参考になれば幸いでございます。寝具の疑問、ご不明な点は、どうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。今晩も、どうぞぐっすりとお休みいただけますように。

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