Monthly Archives: 6月 2019

昼寝は何分とるのがよいの? 効率的に昼寝する方法

昼寝は何分とるのがよいの? 効率的に昼寝する方法

「お昼休み、昼寝をしたら、頭がすっきりした」「昼寝をしたのに、ぼーっとして、午後の効率が悪かった」など、昼寝は、効果を感じるときと、そうでないときがありますよね。昼寝の取り方によって、効果が異なるとされています。ここでは、午後の行動の効率性を上げるための、昼寝の方法をお伝えします。

目次

効果的な昼寝をとるには

昼寝のとり方によって、日中の眠気の解消をし、仕事効率を上げ、さらに、睡眠の質を高めることが可能とされています。

昼寝で、その日の過ごし方の質を高めるには、

  1. 効果的な昼寝の時間(長さ)
  2. 効果的な昼寝のタイミング

が、重要なポイントとなります。

次の項目から、それぞれを詳しくお伝えしていきます。

効果的な昼寝の長さ

効果的な昼寝のためには、昼寝の長さを適切にすることが大切です。適切な昼寝の長さで、目覚めるということです。

  • 効果的な昼寝の長さは、20分程度が最適

とされています(堀、2008)。最適とは、20分程度の昼寝で目覚めると、日中の眠気が解消され、すっきりと目覚め、午後も活動的になる、ということです。

逆に、30分を超える昼寝は、起きた後、ぼーっとした眠気が残り、その後の行動の正確性などに影響がでてしまいます(堀、2008)。

20分が最適な昼寝の長さである理由

20分が最適な昼寝の長さである理由は、ヒトの睡眠のしくみによります。具体的には、ヒトは、目覚めのタイミングで、強い眠気が残ったり、疲労感が発生してしまうことがある、というしくみです。ここでは、詳しく、その理由をお伝えしていきます。

20分が最適である理由は、次の2点を知り、組み合わせることで、はっきりと見えてきます。

  1. ヒトの眠りのリズムは、睡眠の深さによって構成され、90分の周期になっていること
  2. 目覚めるタイミングで、目覚めた後に、脳や体の意識がはっきりしない睡眠慣性とよばれる状態が発生すること

上記の2点を、順番に説明していきます。

まず、睡眠のリズムについてです。

睡眠に関心のある方は、下のような図をご覧になったことがあるかもしれません。これが、睡眠のリズムを表した様子です。

 睡眠のサイクル(堀、2008)

睡眠のサイクル(堀、2008)

上の図は、浅い眠りから始まり、段階的に睡眠が深くなり、一番深い睡眠に達した後、再び、浅い眠りに戻る様子を示しています。この一つの周期にかかる時間が、90分です。

次に、目覚めのタイミングで起こる、睡眠慣性についてです。

睡眠慣性の詳しい説明は、「目覚めても、強い眠気が残る、睡眠慣性の原因と対処法」に記載をしていますが、簡単にお伝えすると、目覚めるタイミングで、目覚めた後に、強い眠気や疲労感が残ってしまう、という現象です。

具体的には、浅い睡眠の途中で目覚めると、睡眠慣性の発生が弱く、すっきりと目覚められますが、深い睡眠の途中で目覚めると、睡眠慣性の発生が強く、目覚めた後、強い眠気や疲労感が残ってしまう、という状態が発生します(堀、2008)。

勘の良い方は、もう推測ができるでしょう。睡眠の深さのサイクルが決まっていて、睡眠慣性の発生するタイミングもわかっているので、睡眠慣性の影響が一番少ないタイミングで目覚めるのが、ベストな昼寝の時間ということになるのです。

90分の睡眠サイクルの中で、深い睡眠状態になるのは、睡眠が始まってから、

  • 青年から若年成人は、15~20分程度
  • 中高年は、30分程度

経過してからといわれています(堀、2008)。

浅い睡眠の間に目覚めれば、睡眠慣性の影響が少ないので、深い睡眠に入る前に、目覚めれば、すっきりと目覚められます。

つまり、昼寝に適した長さは、

  • 青年から若年成人は、15~20分以内
  • 中高年は、30分以内

となるのです。

午後を効率的に過ごすための昼寝のタイミング

効果的な昼寝の長さが分かったところで、ここからは、いつ、昼寝をすれば効果的か、をお伝えします。

結論からお伝えすると、昼間の眠気のピークに合わせて昼寝をする、または、ピークの前に昼寝をする、の、二つのタイミングがあります。

え? 昼間の眠気のピークって、いつ?

日中の眠気を一番強く感じる時間帯は、いつだと思われますか?

答えは、14時です。多くの方が、やっぱり、と思われたのではないでしょうか。ご自身の体験から感じる、昼間の眠気のピークと同じ、という方も多いでしょう。

ですので、効果的に昼寝をとるには、

  1. 日中の眠気のピークの、14時にあわせて昼寝をして、眠気を解消する
  2. 12時過ぎに昼寝をして、14時の眠気のピークを予防する

の、どちらかがおすすめです。

昼寝の効果

医学博士の堀忠雄氏は、著書の中で、14時から20分の昼寝をとった効果と、12時20分から、20分の昼寝をとった効果とを比べた、実験結果を紹介しています。ここでは、実験結果の中で、興味深かった点をご紹介します。

14時から20分の昼寝の、実験結果からみた効果

  • 14時からの昼寝によって、眠気の強さは解消され、眠気の解消は、その後、2時間持続する。
  • 14時からの昼寝によって、覚醒度を測定するためのテストの結果に、効果がみられる。昼寝をしないと、15時以降に正解率の成績が下がるが、昼寝をすると、昼寝の後2時間は、正解率の成績が向上する。

(堀、2008)

12時20分から20分の昼寝、実験結果からみた効果

  • 12時20分からの昼寝によって、13~15時まで、眠気の強さが標準以下となり、昼間の眠気の予防となる。
  • 12時20分からの昼寝では、覚醒度を測定するテストの成績結果は、向上とはならなかったが、成績の自己評価に、よい現象がみられる。昼寝をしないと、自己評価を過小評価し、心理的負担が大きくなる傾向があるのに対し、昼寝をすると、その過小評価が減少し、達成感の感じ方、心理的負担が減少傾向にある。

(堀、2008)

上記をまとめると、

  • 14時からの昼寝では、眠気の強さの解消と、その後の行動の成果に効果が期待できる。
  • 12時20分からの昼寝では、14時前後の眠気のピークを予防でき、気持ち良く午後の行動ができる。

ことがわかります。

お勤めの方は、昼休みの取る時間帯が、決められているでしょう。多くの方は、14時前の時間帯ではないでしょうか。昼休みの時間の取り方を工夫して、食後に20分の昼寝、効果をお試しになってはいかがでしょう。

日中の眠気の原因

最後に、日中の眠気の原因についてお伝えします。

昼間の眠気は、ヒトのしくみによるものです。夜の睡眠を十分取っている方にも発生します。前出の医学博士の堀忠雄氏は、著書の中で、次のように伝えています。

日中の眠気は、前の晩に十分に睡眠をとっていてもおこる。中略 昼寝は体温リズムと関連し、エネルギー戦略に組み込まれたごく自然な休止相であり、ヒトはもともと昼寝をするようにできていることをしめしている。

(堀、2008)

上記は、昼間の眠気は、個々人の生活の違い、前日の睡眠の長さの違い、によって発生するのではなく、夜の眠りと同様に、ヒトのしくみに組み込まれている、と伝えてくれています。

昼間に眠くなることや、昼寝をすることに、ちょっと後ろめたさを感じる方もいらっしゃるかもしれません。ヒトのしくみによるものだと知ると、ちょっと安心しませんか?

20分の昼寝、14時までのお昼休みの間に、組み込んで、午後の時間を、効率的にお過ごしになると、毎日の生活に良い変化が期待できるかもしれません。なんとも楽しみなことです。

 
 
 

脚注

文献

堀忠雄、(2008)『睡眠心理学』株式会社北大路書房.

宮崎総一郎、林光緒、(2017) 『睡眠と健康』一般財団法人放送大学養育振興会.

ハニカムメッシュパッドとは? 暑さと湿気対策におすすめ

ハニカムメッシュパッドとは? 暑さと湿気対策におすすめ

ハニカムメッシュパッドとは? 暑さと湿気対策におすすめ

ハニカムメッシュ素材、聞いたことございますか? 名前は耳にしなくても、椅子や車のシートクッション、スリッパなどで、素材を目にしたことがある方は、いらっしゃるかもしれません。ハニカムメッシュは、ハチの巣形状の、編み目になった立体生地で、湿気や熱を逃がす目的で使われる素材です。ここでは、ハニカムメッシュパッドの特徴、どんな方におすすめか、使い方をお伝えします。暑い季節に涼しく眠りたい、低反発マットレスの暑さをしのぎたい方、お役立てくださいませ。

目次

ハニカムメッシュパッドとは

ハニカムメッシュパッドとは、ハチの巣のような編み目形状で、少し厚みのある立体構造が特徴の、パッドタイプの寝具です。通気性に優れ、暑さや湿気対策のために使います。

ハチの巣形状の編み目の構造が、ハニカム構造といわれているため、ハニカムメッシュと名付けられています。

ハニカムメッシュパッドの、ハニカムメッシュ構造

ハニカムメッシュパッドの、ハニカムメッシュ構造

ハニカム構造とは、ハチの巣のように、同じ大きさの正6角形が、隙間なく並べられた平面の構造のことです。ハニカム構造は、1点にかかった衝撃を分散する構造であるため、変形しにくく、衝撃に強いのが特徴です。

ハニカムメッシュパッドが、通気性に優れている理由は、ハニカム構造の特徴によります。ハニカム構造のハニカムメッシュパッドは、その上に寝て、体重がかかっても、ハニカムメッシュ生地が、つぶれず、体と寝具の間に空間が保たれます。そのため、通気性が良いという仕組みになっているのです。

ハニカムメッシュパッドのハニカムメッシュ生地は、ナイロンやポリエステル素材が使われています。汗の吸湿機能はなく、通気機能が主たる性能です。暑さ対策で利用するときは、ハニカムメッシュの上には直接眠らず、汗の吸湿をするために、シーツを併用するようにします。

ハニカムメッシュパッドとは

ハニカムメッシュパッドとは

ハニカムメッシュパッドの商品の種類

ハニカムメッシュパッドは、下記のような、タイプがあります。

  1. ハニカムメッシュ素材を、パッドタイプに仕上げた、ハニカムメッシュパッド(中わたや側生地は使われず、ハニカムメッシュ生地だけで作られているタイプ)
  2. ハニカムメッシュ素材を、冷感素材の生地でくるみ、パッドタイプに仕上げた、ひんやりタイプのハニカムメッシュパッド
  3. 中わたの入った敷きパッドの、片面に、ハニカムメッシュ生地を使用した、敷きパッドタイプのハニカムメッシュ敷きパッド

敷きパッドタイプは、中わたや、側生地に、冷感タイプのひんやり素材が使われている商品も販売されています。夏に涼しくお休みになりたい方に、喜ばれています。

サイズは、敷き布団やベッドマットレスの大きさに合わせた、シングル、セミダブル、ダブルサイズがあります。汗の多い赤ちゃんのためのベビーサイズの商品も販売されています。

ハニカムメッシュパッドを使って、期待できること

ハニカムメッシュパッドを使うことで、期待できることは、次の通りです。

  • ハニカム構造のパッドなので、通気性が良く、湿気による、蒸れ感が軽減し、不快感なく眠れる
  • ハニカム構造のパッドなので、通気性が良く、熱を逃がすため、暑さ対策が期待できる
  • つぶれにくい立体生地のため、体が敷き布団やベッドマットレスと密着せず、べたつき感が軽減する
  • ハニカムメッシュ本体は、洗濯が可能で、乾きも早いため、簡単なお手入れで清潔さを保てる
  • ハニカム構造の特性で、圧力が分散させるので、一般的な敷きパッドより、体圧分散効果や圧迫感の軽減が期待できる

ハニカムメッシュパッドをおすすめする方

ハニカムメッシュパッドは、梅雨から夏にかけて、さわやかに、心地よくお休みいただくための寝具です。次のような方に、おすすめです。

  • 低反発マットレスのムレや暑さを軽減したい方
  • 睡眠中の蒸れ感が気になり、蒸れによる不快感を解消したい方
  • 汗が多く、寝具の湿気が気になり、湿気対策をしたい方
  • 寝室の湿気が多く、寝具が湿りやすく、寝具に湿気をこもりにくくしたい方
  • 敷き布団やベッドと体が密着することによる、べたつきの不快感を軽減したい方
  • わたの入った、ひんやり敷きパッドは、洗濯後に乾きにくく、不便さを感じている方
  • 洗濯が簡単で、乾きの早い、夏に使えるパッドが欲しい方
  • 手軽に、寝心地を改善したい方

洗濯後の、乾きの早さを目的にされる方は、わたの入っていない、ハニカムメッシュ生地タイプの、ハニカムメッシュパッドをお使いください。わたの入った、敷きパッドタイプより、早く乾きます。

ハニカムメッシュパッドの使い方

最後に、ハニカムメッシュパッドの使い方をお伝えします。ハニカムメッシュパッドは、敷き布団、ベッド、どちらでもお使いいただけます。

タイプによって、使い方、具体的には敷く順番が、異なります。

側生地がついていない、ハニカムメッシュパッドの使い方

  1. ハニカムメッシュパッドを、敷き布団、もしくは、ベッドパッドの上にのせます。
  2. シーツを、ハニカムメッシュパッドの上に敷きます。シーツの上で休みます。
  • ひんやりタイプの敷きパッドを併用する方は、ハニカムメッシュパッドの上に、敷きパッドをのせます。その上で、休みます。

側生地につつまれている、敷きパッドタイプのハニカムメッシュパッドの使い方

  1. ハニカムメッシュパッドを、敷き布団、もしくは、ベッドパッドの上にのせます。
  2. その上に、直接、寝ていただけます。
  3. パッドの洗濯をしたくない方は、ハニカムメッシュパッドの上に、シーツを敷きます。シーツの上で休みます。

片面にハニカムメッシュ、片面がわたの入った、敷きパッドタイプのハニカムメッシュ敷きパッドの使い方

リバーシブルタイプの、ハニカムメッシュ敷きパッドは、ハニカムメッシュが使われている面を上、もしくは、反対面を上、どちらでもお使いいただけます。

ハニカムメッシュ面を上にする場合

  1. 敷き布団、もしくは、ベッドパッドの上に、ハニカムメッシュ面を上にして、ハニカムメッシュ敷きパッドをのせます。
  2. シーツを、ハニカムメッシュパッドの上に敷きます。シーツの上で休みます。
  • ハニカムメッシュ面にも、側生地がついているタイプは、直接、パッドの上に寝ていただけます。
  • パッドの洗濯をしたくない方は、ハニカムメッシュパッドの上に、シーツを敷きます。シーツの上で休みます。

ハニカムメッシュ面を下にする場合

  1. 敷き布団、もしくは、ベッドパッドの上に、ハニカムメッシュ面を下にして、ハニカムメッシュ敷きパッドをのせます。
  2. 敷きパッドの上に、直接眠っていただけます。
  3. 敷きパッドの洗濯を、頻繁にしたくない方は、敷きパッドの上に、シーツを敷きます。シーツの上で、休みます。

ハニカムメッシュ敷きパッドは、ご家庭での洗濯が可能な商品がほとんどです。洗濯が不可な商品、洗濯が面倒、洗濯をしたくない、という方は、敷きパッドの上にシーツを敷いて、使うようにしましょう。シーツを洗濯することで、清潔にお休みいただけます。

実際にお使いになる際には

ハニカムメッシュが使われているパッド類は、商品によって、取り扱いが異なることもあります。お使いの商品の使い方の説明を、参照してくださいますよう、お願いいたします。

ハニカムメッシュパッドのおすすめを見る

ここでは、ハニカムメッシュパッドのおすすめをご紹介します。暑い夜に快適に眠るために、お役立てください。

ハニカムメッシュ素材を、パッドタイプに仕上げたハニカムメッシュパッド

ひんやり冷感生地につつまれた、敷きパッドタイプのハニカムメッシュパッド

中わたの入った、リバーシブル敷きパッドタイプのハニカムメッシュパッド

ベビーサイズのハニカムメッシュパッド


以上
梅雨から夏におすすめの、ハニカムメッシュパッドについてお伝えしました。汗や湿気の蒸れ対策、暑さ対策をしたい方が、心地よくさわやかにお休みいただけますれば、幸いです。

夏の布団の種類とお好みに合わせた選び方

夏の布団の種類とお好みに合わせた選び方

「夏は、何を掛けても暑い。でも、何も掛けないと風邪をひいてしまいそうだし」と、夏の掛け布団選びは、迷ってしまいますよね。ここでは、夏におすすめの布団の種類と、選び方をお伝えします。暑い夜に、快適に、ぐっすりと眠るための寝具選びにお役立ていただければ幸いです。

目次

夏におすすめの掛け寝具の種類

夏の布団は、わたの入った、肌掛け布団などの掛け寝具のほか、タオルケットなどの、わたの入っていない、ブランケットタイプの掛け寝具があります。夏に快適に眠るために、おすすめの掛け寝具は、次の通りです。

夏におすすめの掛け寝具のリスト

中わたの入った夏の掛け寝具

中わたの入っていない夏の掛け寝具

夏の掛け寝具の特徴とお好みに合わせた選び方

ここからは、それぞれの掛け寝具について、詳しくお伝えしていきます。
それぞれの掛け寝具の

  1. 特徴
  2. どのような方におすすめか

を、順にお伝えします。

あなたのお好みに合う、夏の掛け寝具をお選びいただければ幸いです。

ダウンケット

1.特徴

ダウンケットは、中に羽毛が入った、肌掛け布団です。冬の羽毛布団の4分の1から、3分の1程度の厚みです。軽くて、ふんわりとして、程よい保温性があり、夏に心地よく眠れる掛け布団の代表です。

ご家庭の洗濯機で洗えるダウンケットもあります。乾きも早く、夏の汗の多い季節に快適にお使いいただけます。

価格は、商品のグレードに合わせて、数千円から、数万円まで幅広くあります。お好みのグレードに合わせて、お選びいただけます。

ダウンケットの詳細は、別の記事、「ダウンケットの使い方と選び方。蒸れずに快眠をしたい方に」にございます。選び方やお手入れの方法もございますので、どうぞご覧ください。

2.おすすめの方

  • ダウンケットは、寝室で冷房をお使いの方、使わない方、どちらの方にもおすすめです。
  • 冷房をお使いの方は、全身にかけてお使いいただくのがおすすめです。
  • 冷房をお使いにならない方は、半分に折りたたんで、お腹のあたりだけにかけてお使いになるのがおすすめです。

ガーゼ肌掛け布団

1.特徴

ガーゼ肌掛け布団は、側生地に、肌にやさしいガーゼ、中わたに、ポリエステルわたが使われた、肌掛け布団です。ガーゼは、肌にやさしいばかりではなく、べたつきがなく、サラリとして、通気性もよく、夏に涼しくお使いいただけます。

ご家庭でも、洗濯が可能です。中わたは、薄く入っているタイプがほとんどですので、乾きやすい掛け寝具です。布団の汗が気になったら、すぐにお洗濯をして、清潔に使うようにしましょう。

カバーは掛けずに、ガーゼの心地よさを肌で感じながらお使いいただくのがおすすめです。

2.おすすめの方

  • ふんわりと軽い掛け布団をお使いになりたい方におすすめです。
  • お子さまや、ご年配の方で、やわらかな肌触りの掛け布団でお休みになりたい方におすすめです。
  • 冷房をお使いになる方で、羽毛がお嫌いの方に、安心してお使いいただけます。
  • ガーゼの感触がお好みの方で、ガーゼケットより、保温性の高い掛け寝具をお探しの方におすすめです。

タオル、パイルの肌掛け布団

1.特徴

タオル、パイルの肌掛け布団は、肌に触れる、内側の生地に、やわらかなタオル、パイルが使われている肌掛け布団です。中には、ポリエステルわたが、薄く入っています。軽い掛け心地で、やさしい温かみもあります。

タオルケットと異なり、肌にまとわりつきません。パイルの感触は、タオルケットより、やわらかな肌触りになります。

ガーゼの肌掛け布団と比べますと、側生地にパイルが使われている分、少し、重さを感じます。ガーゼの肌掛け布団より、パイルの肌掛け布団の方が、保温性が、若干、高く感じられるでしょう。

ご家庭でも、洗濯が可能です。パイルの掛け心地を楽しむためには、カバーを掛けずにお使いいただくのがおすすめです。汗が気になったら、お洗濯をして、清潔に使いましょう。

2.おすすめの方

  • タオルの感触がお好み、でも、タオルケットのまとわりつきは好きではない、という方におすすめです。
  • ご年配の方で、軽くて、保温性のある、夏の掛け寝具をお好みの方にもおすすめです。
  • 冷房をお使いになる方で、羽毛がお嫌いの方に、安心してお使いいただけます。

夏用冷感素材のひんやり肌掛け布団

1.特徴

ひんやり肌掛け布団は、側生地や中わたに、冷感タイプの特殊化学繊維が使われている、肌掛け布団です。軽量で、さらっと、体にのせるようなイメージで、使うタイプの肌掛け布団です。

冷感素材のひんやり肌掛け布団は、寝具のメーカーから、さまざまな特性の商品が販売されています。肌に触れても、ひんやり感が持続する、放熱性の高い素材や、熱を逃がしやすいように、特殊な織り方をした素材、吸湿性、放湿性の高い素材などが使われています。ひんやり、涼しく、さわやかに眠るための肌掛け布団です。

ご家庭でも、洗濯が可能です。カバーを掛けずに使った方が、冷感素材の良さを、実感していただけます。カバーを使用しない場合は、頻繁に、お洗濯をして、清潔に使うようにしましょう。

2.おすすめの方

  • 夏に涼しく、ひんやりとお休みになりたい方におすすめです。
  • 天然素材よりも、特殊機能素材で、とにかく涼しく眠りたい方におすすめです。

ちぢみ肌掛け布団

1.特徴

ちぢみ肌掛け布団は、側生地に、ちぢみ織りの生地を使った、サラリとした掛け心地の肌掛け布団です。中のわたは、ポリエステルわた、綿わた、麻わたなどが使われます。和の良さを感じる、夏用の肌掛け布団です。中わたは、0.5kgタイプが多く、肌掛け布団の中では、しっかりとした掛け心地です。

ちぢみ織りは、撚りの強い糸を使い、工程の途中で、水やお湯に浸し縮ませたり、撚りをほぐしたりして、生地の表面を凹凸にし、肌に触れる面を少なくすることで、涼感を楽しめる、伝統技術の織り方です。産地により、工程や使われる糸の素材などが異なります。いずれの産地のちぢみ織りも、生地の表面に凹凸があり、さらっとして、清涼感のある生地に仕上がります。

掛け心地だけでなく、見た目も涼しさを感じていただけます。和のイメージを楽しみながら、お休みいただける、肌掛け布団です。

ご家庭では洗濯ができない商品がほとんどです。カバーを掛けてお使いになることをおすすめします。見た目の涼しさを楽しむには、昔ながらの、白で、中央が紗(中が透けるシースルー素材)になった、円窓タイプで布団の表面が見える、掛けふとんカバーをお使いになるのもおすすめです。

2.おすすめの方

  • 天然素材の寝具がお好みの方におすすめです。
  • しっかりとした掛け心地の肌掛け布団をお好みの方におすすめです。
  • 和のイメージやインテリアを楽しみたい方におすすめです。
  • 冷房をお使いの方で、保温性としっかりした掛け心地の、掛け布団でお休みになりたい方におすすめです。

麻の肌掛け布団

1.特徴

麻の肌掛け布団は、側生地と中わたに、麻が使われ、さらっとしてシャリ感がある、天然素材の肌掛け布団です。中わたは、0.5kg前後で、しっかりとした掛け心地の肌掛け布団です。側生地に、麻のちぢみ生地が使われていますので、肌触りが、サラリとして、シャリ感があり、涼しくお休みいただけます。

麻は、ご存じの通り、熱を逃がし、吸湿性と放湿性が高いので、夏に涼しく、心地よく眠れる、すばらしい天然素材です。麻の肌掛け布団は、麻の良さを、存分に楽しんでお使いいただけます。

ご家庭では洗濯ができない商品がほとんどです。お手入れは、カバーを掛けてお使いになることと、陰干しです。必要があれば、麻の寝具を取り扱っている、ドライクリーニングをご利用ください。

カバーは、本麻のカバーや、昔ながらの、中央が紗(中が透けるシースルー素材)になった、円窓タイプで布団の表面が見える、掛けふとんカバーをお使いになると、麻の寝具の良さを楽しんでいただけます。

2.おすすめの方

  • 麻の寝具がお好みの方におすすめです。
  • 天然素材の寝具で、涼しくお休みになりたい方におすすめです。
  • 質の良い寝具で、質の良い睡眠を楽しみたい方におすすめです。
  • 和のイメージやインテリアを楽しみたい方におすすめです。
  • 冷房をお使いの方で、しっかりした掛け心地の掛け布団で、お休みになりたい方におすすめです。

シルク100%のまわた肌掛け布団

1.特徴

まわた肌掛け布団(真綿肌掛け布団)は、中わたに、シルク(絹)わたが使われた肌掛け布団です。側生地は、シルク、綿、シルク混、麻の生地が使われています。通気性が良く、サラリとして、リラックス効果もある、やさしい掛け心地の肌掛け布団です。

シルクわたは、吸湿性と放湿性に優れ、蒸れがないのが特徴です。絹はリラックス効果、抗菌防臭効果、肌を活性化する作用があるとされています。涼しさというより、やさしい掛け心地の、天然素材の肌掛け布団です。

ご家庭では洗濯ができない商品がほとんどです。お手入れは、カバーを掛けてお使いになることと、陰干しです。必要があれば、まわた、絹の寝具を取り扱っている、ドライクリーニングをご利用ください。

カバーは、シルクサテンのカバーをお使いになると、シルクのひんやり感を楽しんでいただけます。綿や本麻のカバーを掛けると、まわた(真綿)の良さと、サラリとした掛け心地の両方を楽しんでいただけます。カバーの素材も、吟味して、お好みに合う素材をお選びになるのをおすすめします。

2.おすすめの方

  • 冷房のお部屋で、適度な保温性のある肌掛け布団をお使いになりたい方におすすめです。
  • 上質な寝具で、質の良い睡眠をお楽しみなりたい方におすすめです。
  • シルクの寝具がお好きな方の、夏の掛け寝具として、おすすめです。
  • 天然素材の寝具で、肌触りの良い寝具がお好みの方におすすめです。

2枚合わせの掛け布団の、薄いタイプの肌掛け布団

1.特徴

2枚合わせの掛け布団をお使いの方は、夏は、2枚の中の、薄いタイプの肌掛け布団をお使いになるのが良いでしょう。2枚合わせの掛け布団の中わたは、羽毛、と、洗えるポリエステルわたがあります。

掛けふとんカバーは、厚みに関係なく、2枚合わせて使う場合と、同じサイズのカバーをお使いいただけます。ただ、夏ですので、涼しさを感じる、ブルー系や、グリーン系、クリーム系の色に変えてみるのもおすすめです。

2.おすすめの方

  • 2枚合わせの掛け布団をお使いの方で、冷房のお部屋で眠る方におすすめです。

タオルケット

1.特徴

タオルケットは、パイル織で、汗をしっかり吸い取ってくれる、掛け寝具です。素材や織り方によって、掛け心地が異なります。今治や、スーピマコットン、超長綿の素材が使われた、大変上質で、肌触りが滑らかな、掛け心地がすばらしいタオルケットも販売されています。

タオルケットの詳しい種類や、選び方は、「タオルケットの素材の種類と好みに合った選び方」をご覧ください。タオルケットのお手入れの方法も記載してあります。

ガーゼケット

1.特徴

ガーゼケットは、ガーゼを複数枚重ねて織られたブランケットで、ふんわりとして、軽い掛け心地が特徴です。タオルケットよりも軽く、通気性があり、肌触りがやわらかで、涼しくお休みいただけます。

素材は、綿のほか、本麻、麻と綿の混紡なども使われています。綿のガーゼは、柔らかさがあり、麻のガーゼは、シャリ感があります。質感のお好みでお選びいただくのがおすすめです。

ガーゼは、汗の吸湿にも優れていますので、汗の多い方にも、心地よくお使いいただけます。

ガーゼケットは、2重織りから6重織り程度まであり、厚みに種類があります。軽さや、涼しさの好みでお選びになるのが良いでしょう。

ガーゼケットの掛け心地がお好きな方で、もっと軽い掛け心地がお好みの方には、ガーゼの掛け布団カバーに、掛け布団を入れずに、カバーだけでお使いになることをおすすめします。ガーゼケットよりも軽く、通気性もあり、涼しさを感じながらお休みいただけます。

ご家庭での洗濯は、もちろん可能です。ガーゼケットは、朝になると、汗をたっぷり吸っていますので、頻繁にお洗濯をするようにします。ガーゼケットは、洗濯後の乾きは早いですので、頻繁に洗って、清潔に使うようにしましょう。

2.おすすめの方

  • タオルケットよりも、軽い掛け心地がお好きな方におすすめです。
  • 汗の多い方におすすめです。
  • 冷房をお使いにならない方で、何も掛けたくないけど、何か掛けないと不安、という方におすすめです。

綿毛布

1.特徴

綿毛布は、タオルケットよりも、少ししっかりとした掛け心地の、綿100%の毛布です。タオルケットと異なり、表面が、ループではなく、毛布のようにカットされていますので、肌触りが、滑らかです。

綿毛布は、ダブルサイズ、クイーンサイズも販売されていますので、大きいベッドでお休みの方にも喜ばれています。

ご家庭で、お洗濯をしていただけます。タオルケットよりも、乾燥に時間がかかります。天気の良い、乾燥して、時間に余裕のあるときに、洗濯をするようにしましょう。

2.おすすめの方

  • タオルケットよりも、しっかりした掛け心地がお好きな方におすすめです。
  • ダブルサイズやクイーンサイズの、ブランケットタイプの、夏の掛け寝具をお探しの方におすすめです。
  • 肌触りが滑らかな素材をお好みの方におすすめです。
  • 冷房をお使いの方で、肌掛け布団より、ブランケットタイプの掛け寝具がお好みの方におすすめです。

ハーフケット

1.特徴

ハーフケットは、シングルの半分のサイズの、ブランケットです。素材は、タオルケット、ガーゼケット、綿毛布、いずれのタイプも販売されています。

サイズは、140x100cmです。手足を出して、お腹の上だけ掛けて使うのに、丁度よいサイズです。小さい分、洗濯も簡単ですので、夏に使い勝手の良いブランケットタイプの掛け寝具です。

2.おすすめの方

  • 手足は出して眠るので、お腹の上だけ何か掛けて眠りたい、という方におすすめです。
  • 冷房を使わない方に、おすすめです。
  • 洗濯を簡単に済ませたいという方にもおすすめです。

 
以上、夏におすすめの掛け寝具の種類と選び方をお伝えしました。夏は、冷房をお使いの方、使わない方、天然素材がお好みの方、ひんやり冷感素材がお好みの方などで、寝具の選び方も異なります。あなたのお好みに合った、夏に快適に眠れる掛け寝具選びにお役立て頂ければ幸いです。

夏に快適に眠るための、エアコンの設定温度とタイマーの使い方

夏に快適に眠るための、最適な室温とエアコンの使い方

「暑くて眠れない」「起きたら汗びっしょり」「夏は熟睡できずに辛い」という方も多いのではないでしょうか。寝室の暑さとジメジメした湿気は、睡眠の質を阻害します。ここでは、夏に質の良い睡眠で快眠するための、寝室の最適な温度と湿度、と、エアコンの使い方をお伝えします。ぐっすり眠って、夏を元気にお過ごしいただければ幸いです。

目次

夏の寝室の最適な温度と湿度設定は?

「夏の寝室のエアコン、何度に設定すれば、快眠できる?」

夏に快眠するためには、

  • 寝室の室温が、26℃
  • 湿度が、50%~60%

になるようにエアコンを設定するとよいとされています。

質の良い睡眠のためには、寝室のエアコンの設定温度を、26℃、湿度の設定も可能ならば、50%程度に設定しましょう。(設定温度の根拠は、次の項目でお伝えしていきます。)

夏の寝室のエアコンの設定温度

夏の寝室のエアコンの設定温度

 

エアコンの設定温度、には、注意点があります。

エアコンの性能によって、エアコンのスイッチの設定温度と、実際の部屋の温度に違いが生じる場合ある、という点です。

例えば、エアコンのスイッチの設定温度を、28℃にして、十分冷えるエアコンもあれば、スイッチの設定温度を、21℃にしても、なかなか冷えないエアコンもあります。

大切なのは、室温です。

室温が、26℃程度になるように、エアコンを使います。室温計を、寝室に置き、確認することをおすすめめします。お使いのエアコンの癖を把握して、スイッチの設定温度を調整してみましょう。

設定温度と湿度の根拠・解説

ここからは、夏の寝室の設定温度を26℃、湿度を50%~60%、とお伝えした、根拠をお伝えしていきます。

寝室の高温と多湿状況が、睡眠中の体温に与える影響を示した実験結果のグラフをご覧ください。

下記は、室温を、29℃と35℃、湿度を50%と75%に設定し、男性が上半身裸、下着一枚だけで眠った時の、体温の変化を表しているグラフです(宮崎、林、2017)。室温と湿度の組み合わせで、4パターンの結果が表示されています。
 

寝室の高温と多湿状況が、睡眠中の体温に与える影響(宮崎、林、2017)
(寝室の高温と多湿状況が、睡眠中の体温に与える影響(宮崎、林、2017))

グラフの1番上と2番目の線は、室温を35℃に設定した時の結果です。冷房を使用しない夏の寝室では、35℃になることも多々あります。その状況で眠ると、体温は、ほとんど下がりません。

ヒトは、体温が下がることで入眠していきます。体温がさならないと、入眠しにくく、寝つきが悪くなります。

グラフの上から3番目と4番目の線をご覧ください。室温を、6℃下げ、29℃に設定した結果です。体温が下がっていくのが見てとれます。体温が下がっていきますので、寝つきやすくなります。

室温を下げることで、入眠がしやすい状態となります。

ここで、湿度にも目を向けてみましょう。35℃の室温でも、湿度を75%から50%にすると、体温が低下し始めるのがわかります。これは、湿度を下げることで、汗の蒸発が促されるからです。

快適な睡眠環境には、室温だけでなく、湿度設定も大切であることがわかります。

この実験結果は、裸で眠った時の数値です。私たちは、心地よく眠るために、パジャマを着用し、掛け寝具を使います。29℃の寝室では、まだ、暑すぎます。パジャマを着て、寝具を使った際の、夏に快適に眠るための寝室の室温と湿度が、最初にお伝えした、数値、26℃と50%になるのです。

夏の寝室の最適温度と最適湿度を示している文献を、ご参考までに引用します。

夏のオフィスの空調を28度に設定するように提唱しているが、寝衣や寝具を身にまとうと、28℃でも暑くて睡眠を妨害してしまう。夏の夜は、それよりも2℃低い室温26℃、湿度50~60%であれば、睡眠が良好に保たれる。それよりも室温が高くなると、寝つきが悪くなり、途中で目がさめやすくなる。

(宮崎、林、2017)

ここまでは、エアコンの設定温度をお伝えしました。次からは、エアコンのタイマーの使い方をお伝えします。

エアコンのタイマーは、どう使うのが良い?

「エアコンは、タイマーセットして使った方が良いの?」
「エアコンのタイマーはどう設定するのが良いの?」

夏に快眠するために、ベストなエアコンの使い方は、

  1. 就寝の2~3時間前にエアコンをつけ始め、寝室の壁や家具の温度を下げる
  2. 睡眠の前半に使用し、タイマーセットをして、後半は使用しない

です。具体的に説明をしていきます。

1.就寝の2~3時間前にエアコンをつけ始める

寝室のエアコンは、就寝時にオンにするのではなく、就寝の2~3時間前から使用するようにします。寝室の壁や家具の温度をしっかりと下げるためです。夏は、日中、壁や天井、家具に熱がたまり、その熱が夜間も残り、室温を上げてしまうことがあります。

仮に、就寝時に、エアコンをつけ、タイマーを1時間で止まるように設定するとしましょう。1時間では、寝室の空気は冷えても、寝室の壁や家具が冷えません。エアコンが停止した後、壁や家具の熱で、寝室の室温が、再び上昇してしまいます。眠りに入ろうとした段階で、室温が上がりますので、覚醒してしまい、眠りの妨げになります(宮崎、林、2017)。

上記のことから、エアコンは、就寝の2~3時間前からつけておくことをおすすめします。

2.エアコンを睡眠の前半に使用し、タイマーセットをして、後半は使用しない

寝室のエアコンは、睡眠の前半だけ使用するようにします。睡眠の後半、具体的には、起床の4時間程度前には、冷房は、切れた状態にしておきます。理由は、最初にお伝えした、体温と睡眠の関係によります。

ヒトは、体温の低下と共に入眠し、体温が一番低くなった後、体温の上昇と共に、目覚めます。

睡眠の後半、目覚めの準備の段階に入った時に、冷房が付いていると、体温の上昇を妨げ、すっきりとした目覚めを妨げてしまいます(宮崎、林、2017)。目覚めても、強い眠気が残る、睡眠惰性の原因にもなってしまいます。

タイマーが切れる時間設定は、睡眠の前半であれば、お好みで調節するのが良いでしょう。好みがわからない場合、就寝前に、寝室を十分冷やした後、就寝時、1~2時間でエアコンが切れるように設定してみましょう。夜中、暑さで目覚めなければ、その時間が、あなたに適切なタイマー設定になります。ご自身で、様子を見ながら設定してみることをおすすめします。

エアコンを、睡眠の後半だけ使用し、前半は付けない、パターンはおすすめしません

エアコンを、睡眠の後半、目覚めに合わせて、使ってみるのはどう? と思われる方もいらっしゃるでしょう。冷房のエアコンを、睡眠の後半だけ使うことは、おすすめしません。理由は、

  1. 睡眠の前半に寝室が暑いままになってしまう
  2. 寝室が暑いままだと、入眠するための体温の低下がしにくくなる
  3. 体温を低くできないと、発汗することで、体温を下げようとする
  4. 睡眠中の汗は、不快感となり、睡眠の質を妨げる
  5. 睡眠の前半にかいた汗が、パジャマやシーツ、カバーを湿らせ、後半に冷房を使うことで、湿気が冷えて、体を冷やしてしまう
  6. 睡眠の後半は、体温の上昇をして、目覚めをする時間帯であるが、冷房を使うことで、体温の上昇を妨げてしまう
  7. 睡眠の後半で、体温が上がらないと、目覚めの悪さの原因となってしまう

などがあげられます。

睡眠の質を高めるためには、夏の寝室のエアコンは、睡眠の前半に使い、後半には、使用しないことが大切です。夏の睡眠時に、冷房、エアコンを使う際は、タイマーセットで、後半には、切れるようにするようにしましょう。

夏、熟睡ができない理由

最後に、夏に熟睡できない、根本的な理由をお伝えします。根本的な理由をお伝えすることで、ここまでお伝えしてきた、夏の寝室の最適温度と湿度、と、エアコンの最適な使い方を、すんなりと受け入れていただきやすくなるからです。

夏、熟睡ができない理由は、寝室が暑すぎるから、ではあるのですが、その根本的な理由は、睡眠と体温調節の関係性にあります。

睡眠と体温調節の関係性は、次のとおりです。

ヒトの睡眠は、体温の低下に伴い、眠りに入り、体温の上昇に伴い、目を覚ますしくみになっています。体温が下がらないと、寝つきが悪く、睡眠が浅くなりがちになります。

ここで、もう、おわかりの方も多くいらっしゃるでしょう。夏に熟睡できない原因の一つは、就寝時、体温がなかなか下がらないからなのです。

体温の低下と睡眠について、医学博士で睡眠の専門家の著書を引用しながら、もう少し詳しく説明します。

正常な夜間の睡眠では、就寝する前から皮膚温、特に足背、手背などの抹消の皮膚温が顕著に上昇し、放熱が行われるために深部体温は低下する。入眠すると、深部体温は低下した後、起床に向けて上昇する。入眠前と入眠後に体温が円滑に低下することが、睡眠には重要であることがわかっている。

(堀、白川、2008)

上記は、体温の低下は、皮膚の温度を上昇させて、放熱をさせることで行われる、と伝えています。ここでのポイントは、皮膚の温度が、上がっていく、という点です。もともと温度が高ければいいのではなく、低い温度が高くなることが、必要なのです。

夏の皮膚の温度を想像してみてください。高そうですよね。実際に、ヒトの皮膚温と季節変動の関係性についての実験結果を示した論文では、

温暖期(6月ー10月、外気温15℃以上)には皮膚温は外気温に追随して変化する

(岡村、中村、1997)

としています。夏は、皮膚の温度が、就寝前から高いのです。すでに高くなっている皮膚の温度は、上昇がしづらく、結果、体温も下がりにくくなります。体温が下がらないと、入眠、つまり寝つきが悪くなるという流れになるのです。

さらに、この続きがあります。皮膚温が上がらず、放熱ができないと、ヒトは、汗をかくことで、放熱して、入眠をしようとします。放熱がされて、眠りにつきますが、今度は、汗の湿気による不快感が、深い睡眠の妨げになっていくのです。汗の不快感が眠りの妨げになるのは、多くの方が、体感されてご承知のとおりです。

これが、夏の熟睡を妨げる、原因になっているのです。

以上、
夏に、快適に眠るための寝室の室温設定と、エアコンの使い方をお伝えしました。冷房のエアコンの使用は、お好みも分かれることでしょう。ただ、室温の高さは、眠りの妨げになることは確かです。寝室が、29℃以上になる日は、エアコンを使用し、適切な寝具も使いながら、質の良い睡眠を取れるようにしましょう。ぐっすりと眠ることで、夏を元気に過ごしていただければ幸いです。

設定温度に関するお断り

寝室の適切な設定温度について、お断りです。寝室の適切設定温度は、28℃が最適と示している文献もあります(川島、垣鍔、2007)。この記事では、次の理由から、28℃とは記さず、26℃とお伝えしました。その理由は、その論文で示されていた、実験が

  • 寝室の設定温度を、28℃、一定値に設定して行われ、それ以下の室温では、実験が行われなかったこと
  • 着用した寝間着が、半そでと短パンであったこと

からです。筆者の判断で、この記事では、その論文の数値を用いず、最適な設定温度を26℃とお伝えすることにしました。ここでお断りをしておきます。
 

脚注

文献

堀忠雄、白川修一郎、(2008)『基礎講座 睡眠改善学』一般財団法人日本睡眠改善協議会.

宮崎総一郎、林光緒、(2017) 『睡眠と健康』一般財団法人放送大学養育振興会.

岡村圭子、中村泰人、同一熱環境実験に基づく皮膚温および体温の年内変動、日生気誌 34(2), 89-95, 1997.

川島康、垣鍔直、下記の睡眠時における最適な冷房条件に関する実験的研究、人間と生活環境、11(1),31-37, 2004.