「セミダブルのベッドは、二人で寝るには狭いですか?」と、お問い合わせを頂戴します。セミダブルは、二人用ベッドとして使えるか、と、気になる方が多いようです。ここでは、セミダブルのベッドの幅の疑問にお答えし、快眠に必要なベッドの幅をお伝えします。
目次
「セミダブルのベッドは、二人で寝るには狭いですか?」
「セミダブルのベッドは、二人で寝るには狭いですか?」の、お答えは、下記の二つです。
- セミダブルのベッドは、日常的に、お二人でお休みになるには、おすすめはしません。お二人で眠るには狭いです。
- 日常ではなく、来客時の対応として、お二人で眠るには、お使いいただけます。来客時だけなら、狭くても、どうにかお使いいただけます。
結論は、毎日お二人で使うには、幅が狭く、心地よく眠れない、ということになります。
理由は、セミダブルベッドの幅は、120cm で、お二人で眠ると、一人当たりのベッドの幅が、60cm しかない点にあります。
一人当たりのベッドの幅が、60cm ですと、
- 仰向けの状態のままならば、横たわるのに可能なサイズ
- 寝返りをするには、狭すぎるサイズ
- ゆったりと心地よく眠るには、狭すぎるサイズ
なのです。
もう1点、セミダブルのベッドには、枕をふたつ、横に並べられない、ということもご承知ください。普通サイズの枕は、巾が63 ~ 65cmです。枕を二つ並べると、126~130cmです。セミダブルのベッドの幅が、120cmですので、二つ並べるとはみ出てしまいます。
上記のことから、セミダブルのベッドにお二人で眠るには、毎日の快眠には適さず、来客時の非日常の使い方には対応可能、なサイズ、となります。
「ひとりあたり、幅が60cmって、そんなに狭い?」と、思われる方もいらっしゃるかもしれません。
一人当たりのベッドの幅、60cm が、寝返りには狭すぎる、としている根拠を、次の項目でお伝えします。
一人当たりに必要なマットレスの幅
一人当たりのベッドの幅が、60cm だと、寝返りをしたり、ゆったりと心地よく眠ったりするには、狭すぎる、とお伝えしました。その理由は、寝返りをするために、必要な、一人当たりの寝具の幅が、60cmでは足りないとされているからです。
一般的に、寝返りに必要な、寝具の幅は、肩幅プラス右側に 20cm 、左側に 20cm が必要とされています。
AIST人体寸法データベース, 1991-92 によると、日本人の肩幅は、男性の青年群で平均 45.6cm、男性の高齢者で平均 42.6cm、女性の青年群で平均 40.8cm 、高齢者で平均 39.9cm です。
データから計算すると、寝返りに必要な寝具の幅は、
- 男性で、約 85cm 程度
- 女性で、約 80cm 程度
です。いずれも、60cmより、幅が広く必要としています。
2015年に発行された、「健常者における睡眠中の寝返り回数と日間寝変動の検討」(第50回日本理学療法学術大会沙録集, VOL.42 Suppl.No.2)によると、
- ヒトは、1日平均で、24回程度、寝返りをするとしています。
- 多い人では、38回もの寝返りをした結果も伝えています。
20回以上繰り返される寝返りを、毎日、ストレスなく可能にするには、セミダブルベッドは、お二人で眠るには、適さないサイズということになるのです。
マットレスの幅の違いによる寝心地の差
では、男性 85cm、女性 80cm のベッドの幅があれば、快眠できるのでしょうか?
マットレスの幅が、78cm と 100cm の場合の、寝心地の良さを比べた研究結果があります。ここで、一緒に見てみましょう。
睡眠にとって不可欠な役割(睡眠段階を移行させるスイッチ、血液の循環のパターンの変化を促す、体温・寝床内機構の調節)を待つと考えられる寝返りについては 100cm において、78cm よりも寝返りしやすく、睡眠時間の多くの割合を占める仰臥位および入眠時の姿勢での寝心地に統計学的優位さはなかった。
(中略)
心理評価では、 100cm において優位に寝返りしやすく、入眠感調査表による入眠感評価尺度、寝心地評価の心地よさと寝つき良さの特典が高い傾向にあった。
(木暮貴政、白川修一郎、マットレスの幅が睡眠に及ぼす影響、日本生理人類学会誌、Vol.12、No.3、2007年8月)
とあります。仰臥位とは、仰向けに眠ることです。
要約すると、78cm 幅と、100cm 幅のマットレスを使った実験結果では、
- 仰向けに眠っているだけの状態では、寝心地の差は、あまり認められない
- 寝返りのしやすさは、100cm 幅のマットレスの方が、寝やすい
- 心理的評価結果からは、100cm 幅のマットレスのほうが、寝返りが打ちやすく、寝心地の良さ、寝つきの良さが高い
と伝えています。
このことから、寝返りをしないで、仰向けの状態では、78cm幅の寝具でも問題はないが、寝返りをすることを考慮に入れた場合、ベッドの幅、男性 85cm、女性 80cm の数値は、最低限の数値で、ストレスなく寝返りをして、心地よく眠るには、ベッドの幅は、100cm が望ましい、となります。
マットレスの幅によって、ヒトは、寝心地の感じ方が変わるということがわかります。毎日の健康や元気につながる、心地よい睡眠を、無理せず確保しようとするならば、お二人用のベッドのサイズも、その点を考慮して選びたいところです。
快眠のための二人用ベッドのサイズ
では、快眠をするための、二人用のベッドサイズは、どんなサイズのベッドになるのでしょう。
前出の研究結果から、寝返りが打ちやすく、心理的にも寝心地が良く感じるのに必要な、一人当たりの寝具の幅は、100cm です。
お二人が一緒に寝るベッドで、それぞれが、ストレスなく寝返りできて、快眠できるベッドのサイズとしては、
- 140cm 幅のダブル、一人当たりの幅 70cm
- 155cm 幅のワイドダブル、一人当たりの幅 75cm
- 160cm 幅のクイーン、一人当たりの幅 80cm
- 170cm 幅のワイドクイーン、一人当たりの幅 85cm
- 180cm 幅のキング、一人当たりの幅 90cm
の、いずれも、残念ながら、幅が満たないということになります。
心地よさを追求するならば、
- 200㎝ 幅のワイドキング、一人当たりの幅 100cm
がベストということになるでしょう。
100cm幅は、ちょうど、シングルサイズのベッドの幅です。200㎝幅のワイドキングは、シングルベッドを2台並べて、1台としてお使いいただくサイズになります。
ワイドキングと聞くと、寝室のスペースが気になるという方もいらっしゃるかもしれません。
6畳の広さがあれば、シングルベッドを2台並べてお使いいただけます。
二人用のベッドサイズをお探しの方は、もし、毎日の快眠、安眠を第一に考えるならば、キングサイズよりさらに広い、シングル2台並べるワイドキングサイズを、検討してみることをおすすめいたします。
ご参考になれば幸いでございます。寝具の疑問、ご不明な点は、どうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。今晩も、どうぞぐっすりとお休みいただけますように。
この記事を書いた人
シーツjp店長。上級睡眠健康指導士(認定登録番号 第662号)。
専門分野の、快眠のための寝具の販売、及び、ご相談、ホームファニシング、インテリア販売に、1994年から従事。1923年創業の弊社の店舗にて、対面で23年間、お客さまにぐっすり眠れるための寝具のコンサルティング、ご提案、販売を担当。その経験を活かし、現在は、オンラインにて気持ちよく眠っていただくための、ベッド用寝具の販売、ご提案、ご相談に注力。
前職は、米国の航空会社のマーケティング部アジア統括スーパーバイザー。お客さまが快適で安全な空の旅を楽しんでいただくための仕事に従事。
たずさわるすべての方々とそのご家族が、ぐっすりと気持ち良く眠り、心地良く目覚め、活力いっぱいに、毎日をお幸せにお過ごしいただけるよう、仕事をしています。
ぐっすり気持ちよく眠るための寝具のご相談は、お気軽にお寄せください。