公開日:2019.04.24

枕の素材別、清潔に使うためのお手入れ方法

「低反発の枕は洗えますか?」「枕を清潔に使うにはどうすればよいですか?」と、お問い合わせを頂戴します。汗の多い季節になると、枕の手入れが気になってきます。ここでは、枕のお手入れの基本、洗い方、洗える素材と洗えない素材、そして、枕の素材別のお手入れ方法をお伝えします。気持ち良く、健康的な眠りを楽しむためにご活用ください。

枕の素材別、清潔に使うためのお手入れ方法

枕の素材別、清潔に使うためのお手入れ方法

目次

枕を清潔に保つお手入れの基本

知りたくない現実ですが、枕や寝具は、ダニが集まりやすく、多く生息する場所です。ダニのえさとなる、皮膚の角質がはげおちた落せつ、や、フケが、枕の繊維に多く付着するからです。

ダニが生息しやすく、湿気も気になる枕、清潔に保つことが大切です。

枕を清潔に保つための基本は、あたりまえのようですが、

  1. ピロケースを必ず掛けること
  2. ピロケースを、一週間に一度は、洗濯をして、交換すること

です。ピロケースとは、枕カバーのことです。

ここで、枕にピロケースを掛けることが、ダニの汚染を防ぐ効果がある、との実験結果を伝える論文がありますので、ご紹介します。

カバー使用の結果,ダニ個体数は生死体とも有意に減少した。着用4週間後に多数のダニに汚染されていた敷布団(ダニ主主体10偲体以上/2m’)はカバー着用群(0/8)で非着用群(2/14)より少なかった。多数のダニ死体による汚染も着用群は非着用群より少なかった。

(夏原由博(1997).室内塵ダニ類の生態ならびにアレルギー対策に関する研究日本環境動物昆虫学会[編]8(3)p.164~166.)

この実験では、枕、敷き布団、掛け布団に、高密度織りのカバーを掛けた場合と、掛けない場合での、ダニの個体数を2度にわたって計測しています。カバーを着用した時点と、その後4週間後の2回です。引用した文章では、4週間後の敷き布団の結果が顕著だったため、敷き布団での結果を伝えています。

実験結果は、カバーを掛けることで、ダニの付着を防ぎ、さらには、4週間後の、ダニの死がいの汚染も防いだ、と伝えてくれているのです。

この実験では、カバーの素材が、高密度織りで、防ダニ効果の高い素材を使ってはいますが、カバーをかけることが、効果につながることは、確かといえるでしょう。

ピロケースは、シーツやカバーより小さく、交換もしやすいので、洗濯は簡単です。枕を清潔に保つため、ピロケースを必ず掛けて、こまめに洗濯をするようにしましょう。なにより、清潔なピロケースを使うと、肌が触れたとき、とても気持ちが良いものです。

枕の洗える素材、と、洗えない素材

ここからは、枕を洗いたい、という方に向けてお伝えします。枕は、洗える枕と洗えない枕があります。中に使われている素材によって、分かれます。

枕をお洗濯したい方は、お持ちの枕が、洗える素材か、洗えない素材か、を確認してから、洗濯をするようにしましょう。

洗える枕の素材と、洗えない枕の素材は、次の通りです。

洗える枕の素材

  • ソフトパイプ
  • 高機能合繊わた・粒わた
  • 高反発ファイバー

基本的に、上記の素材は、洗濯が可能です。ただ、商品によっては異なることがありますので、洗濯前には、必ず、洗濯表示を確認するようにしましょう。

洗えない枕の素材

  • 低反発ウレタン
  • 高機能ウレタンフォーム
  • 低反発ウレタンチップ
  • マイクロビーズ
  • そばがら
  • 羽毛・羽根
  • シルク混わた
  • ウールわた
  • ひのきチップ

基本的に、上記の素材は、洗濯ができません。ただ、最近は、素材に特殊加工を施すなどした、洗えるそばがら枕が、販売されています。その場合は、商品の説明や、洗濯表示に準じていただけますようお願いいたします。

枕の洗い方

洗える枕の場合の、洗濯の方法です。

  1. 最初に、洗濯タグを必ず確認します。洗濯が可能か、洗濯機が使えるか、手洗いなら洗えるか、を確認してから、洗うようにしましょう。
  2. 洗濯機の場合、必ず、洗濯ネットに入れます。
  3. 中性洗剤、弱水流で洗います。
  4. 手洗いの場合、中性洗剤を枕の入る大きい洗い桶、お風呂、洗面台などで、押し洗いをします。
  5. 脱水にかけます。
  6. 枕の中を完全に乾燥させます。枕の中材に、湿気が残ってしまうと、臭い、カビ、ダニの発生の原因になります。枕は、中の素材が、たっぷりと、小さい袋に詰まっていますので、乾燥に時間がかかります。乾燥している時期の、時間のあるときを見計らって、洗濯するようにしましょう。
  7. 乾燥機は、使わないようにします。枕の素材は、熱に弱い場合が多いからです。
  8. 干し方は、枕ハンガーを使うと便利です。枕が不安定にならず、干すことができます。枕ハンガーを使わない場合は、枕が平らになるように、ラックに置く、2~3本のハンガーに枕を通す、などして、干します。
  9. 枕の素材によっては、天日に当てると、熱がかかり、素材が劣化したり、硬くなったりしてしまいます。具体的には、低反発素材や、羊毛わたの枕です。その場合は、室内で干すようにしましょう。
  10. 完全に乾いたら、清潔なピロケースに入れて、使いましょう。

枕の素材別のお手入れ方法

ここからは、枕の素材別のお手入れ方法です。次の素材の枕のお手入れ方法を、順にお伝えします。

  • 低反発ウレタン
  • 高反発ファイバー
  • 低反発ウレタンチップ
  • 高機能ウレタンフォーム
  • ソフトパイプ
  • マイクロビーズ
  • 高機能合繊わた・粒わた
  • そばがら
  • 羽毛・羽根
  • ウールわた
  • ひのきチップ

低反発ウレタン

テンピュール枕に代表される枕が、低反発ウレタンの枕です。湿気がこもりやすく、首や頭に密着をしますので、お手入れがとても大切です。湿気がこもったままですと、カビやダニの原因になります。

お手入れ方法

洗濯はできません。

必ずピロケースをかけて、ピロケースを頻繁にお洗濯するようにします。

朝起きたら、枕を立てるなどして、できるだけ通気をさせて、湿気を発散させるようにします。定期的に、室内で、陰干しをして、湿気を発散させます。

天日には干さないようにします。日光によって、低反発素材は、の劣化が早まってしまいます。

汗が多い方は、枕の上に、枕用パット、ピローパットを使用すると、汗が低反発枕にしみこみを軽減できます。

低反発ウレタンチップ

低反発素材のウレタンを、細かい粒状にした枕です。低反発素材の枕と同様に、湿気がこもりやすい枕です。

お手入れ方法

洗濯はできません。

必ずピロケースをかけて、ピロケースを頻繁にお洗濯するようにします。

朝起きたら、枕を立てるなどして、できるだけ通気をさせて、湿気を発散させるようにします。定期的に、室内で、陰干しをして、湿気を発散させます。

天日には干さないようにします。日光によって、低反発素材は、の劣化が早まってしまいます。

高反発ファイバー

エアウィーヴピローやブレスエアーの枕に代表されるのが、高反発ファイバーを使った枕です。

お手入れ方法

手洗いが可能です。

湿気がこもりにくい素材ですので、カビやダニの心配が少ない素材の枕です。ピロケースを必ず掛け、ピロケースを頻繁にお洗濯して、清潔に使うようにしましょう。

年に1~2度、必要があれば、シャワーで、水を通すなどして、手洗いをします。洗濯機に入れると、形が崩れる場合がありますので、避けることをおすすめします。

枕の中では、乾きが早い素材ですが、洗濯後は、完全に乾いてから、清潔なピロケースに入れて、使いましょう。

毎日のお手入れは、起きてから、立てかけて、少しでも、湿気を発散させるようにしましょう。枕の中には、湿気はこもりにくい素材ですが、枕をのせていた敷き布団やベッドの部分に湿気が残っている場合があります。

高機能ウレタンフォーム

ムアツ枕や、西川エアー3D枕に代表されるのが、高機能ウレタンフォームを使った枕です。

お手入れ方法

洗濯はできません。どうしても中の素材に、汚れが染み込んでしまった場合は、水を含ませたタオルで、たたくなどして、汚れを吸い出します。

湿気がこもりにくい素材ですので、カビやダニの心配が少ない素材の枕です。ピロケースを必ず掛け、ピロケースを頻繁にお洗濯して、清潔に使うようにしましょう。

毎日のお手入れは、起きてから、立てかけて、少しでも、湿気を発散させるようにしましょう。お休みの日など、定期的に、室内で、陰干しをして、湿気を発散させます。

天日には干さないようにします。日光によって、ウレタンフォームは、劣化が早まることがあります。

汗が多い方は、枕の上に、枕用パット、ピローパットを使用すると、汗が低反発枕にしみこみを軽減できます。

ソフトパイプ

パイプ枕や、ソフトパイプ枕に使われている素材です。ポリエチレン樹脂を、ストローを細かく切ったような形状の粒状にしてあるのが、ソフトパイプです。

お手入れ方法

手洗い、洗濯機での洗濯が可能です。洗濯機の仕様は、商品の洗濯表示や、説明書に従ってください。

洗濯する場合は、必ず洗濯ネットに入れて、弱水流で洗います。脱水後、完全に乾燥をさせます。乾燥機は、使用できません。パイプの中に、水分が残っていることもありますので、時間をかけて、しっかりと乾燥をさせてから、使用します。

通気性が良く、熱もこもりにくいので、清潔に使える枕です。ピロケースを必ず掛け、ピロケースを頻繁にお洗濯して、使うようにしましょう。

パイプ枕は、男性が好む枕の一つです。汗が多い方もいらっしゃるでしょう。その場合は、枕の上に、枕用パット、ピローパットを使用すると、汗を吸湿し、快適にお休みいただけます。

マイクロビーズ

マイクロビーズは、ポリエチレン樹脂を、砂の粒のような超極小粒のビーズ状にした素材です。収縮度(ストレッチ性)の高いニット生地の側生地で、マシュマロのようなやわらかさの枕が、マイクロビーズの枕です。

お手入れ方法

洗濯はできません。

必ずピロケースをかけて、ピロケースを頻繁にお洗濯するようにします。

朝起きたら、枕を立てるなどして、できるだけ通気をさせて、湿気を発散させるようにします。定期的に、室内で、陰干しをして、湿気を発散させます。

汗が多い方は、枕の上に、枕用パット、ピローパットを使用すると、汗が低反発枕にしみこみを軽減できます。

高機能合繊わた・粒わた・ポリエステルわた

ダクロンⓇデュラライフや、ダクロンⓇコンフォレルなど、清潔で、ほこりがたちにくい、高機能のポリエステル素材や、ポリエステル素材を粒状のわたにした、枕の素材です。ポリエステル枕、洗える枕、清潔枕などとして、販売されています。

お手入れ方法

手洗い、洗濯機での洗濯が可能です。洗濯機の使用は、商品の洗濯表示や、説明書に従ってください。

洗濯する場合は、必ず洗濯ネットに入れて、弱水流で洗います。脱水後、完全に乾燥をさせます。乾燥機は、使用できません。ポリエステルわたが、完全に乾くまで、時間をかけて、しっかりと乾燥をさせることが大切です。湿気が残っていると、カビやダニ、匂いの原になります。

ピロケースを必ず掛け、ピロケースを頻繁にお洗濯して、使うようにしましょう。

毎日のお手入れは、起きてから、立てかけて、少しでも、湿気を発散させるようにしましょう。お休みの日など、定期的に、室内で、陰干しをして、湿気を発散させます。

そばがら

昔からある、そばがらの枕です。

お手入れ方法

洗濯はできません。商品によって、洗えるそばがら枕が販売されています。商品の、説明書や洗濯表示を確認するようにしましょう。

通気性が高く、湿気がこもりにくい素材です。ピロケースを必ず掛け、ピロケースを頻繁にお洗濯して、清潔に使うようにしましょう。

毎日のお手入れは、起きてから、立てかけて、少しでも、湿気を発散させるようにしましょう。お休みの日など、定期的に、室内で、陰干しをして、湿気を発散させます。

そばがらは、他の枕に比べて、耐久性が短い枕です。そばがらの、粒がつぶれて、細かくなってしまったら、寿命です。新しい枕に取り換えましょう。

羽毛・羽根

羽毛(ダウン)や羽根(スモールフェザー)の枕です。

お手入れ方法

洗濯はできません。

通気性が高く、湿気がこもりにくい素材です。ピロケースを必ず掛け、ピロケースを頻繁にお洗濯して、清潔に使うようにしましょう。

毎日のお手入れは、起きてから、立てかけて、少しでも、湿気を発散させるようにしましょう。お休みの日など、定期的に、室内で、陰干しをして、湿気を発散させます。

ウールわた

羊毛(ウール)を粒状のわたになっている素材の枕です。

お手入れ方法

洗濯はできません。

湿気の吸湿と発散性が高い素材で、比較的、湿気の心配が少ない枕です。ピロケースを必ず掛け、ピロケースを頻繁にお洗濯して、清潔に使うようにしましょう。

毎日のお手入れは、起きてから、立てかけて、少しでも、湿気を発散させるようにしましょう。お休みの日など、定期的に、室内で、陰干しをして、湿気を発散させます。

天日には干さないようにします。日光によって、羊毛(ウール)わたは、変色の原因になります。

流水石枕に代表される、石を粒状にした素材です。ひんやりと熱をこもらせず、固さがある枕です。

お手入れ方法

洗濯はできません。

必ずピロケースをかけて、ピロケースを頻繁にお洗濯するようにします。

朝起きたら、枕を立てるなどして、できるだけ通気をさせて、湿気を発散させるようにします。定期的に、室内で、陰干しをして、湿気を発散させます。

ひのきチップ

ひのきを小さなキューブ状のチップにした素材の枕です。

お手入れ方法

洗濯はできません。

必ずピロケースをかけて、ピロケースを頻繁にお洗濯するようにします。

朝起きたら、枕を立てるなどして、できるだけ通気をさせて、湿気を発散させるようにします。定期的に、室内で、陰干しをして、湿気を発散させます。
 
 
 
以上、
枕を清潔に使うためのお手入れ方法をお伝えしました。

気をつけたいポイントは、

  • ピロケースを必ず掛けて、週に一度は洗濯をして清潔に保つこと
  • 毎日、起きたら、お出かけ前の間だけでも、枕を立てかけて、湿気を発散させること

です。

洗濯をする場合は、年に一度、もしくは、汚れてしまって、必要になったときが目安です。

清潔な枕で、気持ち良い睡眠をお楽しみいただければ幸いです。


ご参考になれば幸いでございます。寝具の疑問、ご不明な点は、どうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。今晩も、どうぞぐっすりとお休みいただけますように。

この記事を書いた人

|