「ベッドのマットレスは、干さなくても大丈夫ですか?」「布団をいつも干していたので、ベッドのマットレスを干さないと、汚れや湿気が気になって」と、初めてベッドをお使いになる方から、お問い合わせを頂戴します。ベッドのマットレスは、布団のように干さなくても、大丈夫です。ここでは、ベッドのマットレスを干さなくてよい理由、と、マットレスの湿気対策、お手入れ方法をお伝えします。
目次
ベッドのマットレスを干さなくてよい理由
ベッドのマットレスは、布団のように干さなくても、大丈夫です。ベッドのマットレス自体が、干さなくてもよい構造になっているからです。ここでは、コイルのベッドマットレスを干さなくてよい理由をお伝えします。
ここでお伝えする、ベッドのマットレスとは、一般的な、中にコイルが入っている、コイルマットレスのことを指しています。コイル以外のマットレスにつきましては、この記事の最後にお伝えします。
まずは、コイルタイプのベッドマットレスの干さなくてよい理由です。理由は、マットレスの中がコイルで、湿気を発散しやすい構造になっているからです。
ベッドマットレスの構造
上の画像が、一般的なコイルのベッドマットレスの構造です。マットレスの構造は、高さが10cm以上のコイルを、巻物と呼ばれる、薄いウレタンと、薄いポリエステルわたやウールわたで上下を挟み、キルティングされた側生地で全体をくるんであります。
マットレスは、構造のほとんどが、コイルで、空洞です。吸湿する素材ではありません。
さらに、マットレスの側面には、通気孔が数カ所あいています。汗などの湿気は、ベッドのマットレス内にとどまらせることなく、横の通気孔から、放湿する構造になっているのです。そのため、干す必要がありません。
「布団が干す必要があるのに、ベッドは干さなくてよいの?」の疑問にお答えするために、布団の構造をお伝えします。
布団の構造
布団は、中に綿や羊毛、化繊のわたがはいっている構造です。わたは、湿気を吸収します。汗などの湿気は、布団の中に吸湿され、閉じ込められてしまいます。干すか、布団乾燥機を使用しないと、湿気が発散されることがありません。カラッとした、寝心地の良い布団で眠るためには、干すことが必要になるのです。
布団は干す必要があるのに、ベッドは干さなくてよい理由は、
- 布団は湿気を布団の中に閉じ込め、
- ベッドは、湿気をマットレスの中に閉じ込めない
構造になっているからなのです。
次の項目では、「ベッドって干せないから汚いままで大丈夫?」「 干さない場合のベッドのお手入れは?」にお答えしていきます。
ベッドマットレスのお手入れのポイントとお手入れ方法
コイルのベッドマットレスは、干す必要はありませんが、汚れないわけではありません。長く、快適に使うには、お手入れも必要です。ここでは、ベッドマットレスのお手入れのポイントと方法をお伝えします。
ベッドマットレスのお手入れのポイントは次の通りです。
- 湿気対策
- 汚れ防止
- ベッドの耐久性を高める
具体的な方法は、次の通りです。
1.湿気対策:汚れ防止対策:ベッドパッドとボックスシーツを必ず使う
ベッドパッドとボックスシーツを、必ず使うようにしましょう。湿気対策と、汚れ防止対策の、両方の目的です。
使い方は、下の画像をご覧ください。
マットレスの上にベッドパッドをのせ、その上から、マットレスとベッドパッドを一緒に、ボックスシーツで包みます。毎晩寝ている間のかく、コップ一杯の汗の湿気を、ボックスシーツと、ベッドパッドで、吸湿します。そうすることで、ベッドマットレスに染みる湿気をより少なくします。
ボックスシーツは、できれば、1週間に一度程度は、お洗濯をして、清潔に保ちます。ベッドパッドは、定期的にベッドから外して、陰干しをして、湿気を発散させます。
ベッドパッドとボックスシーツを清潔に保ちながら使うことは、とても大切です。ベッドパッドやボックスシーツが湿ったままですと、ベッドマットレスの側生地や中の薄いわたに湿気がこもり、カビやダニの原因になります。
ベッドのマットレスは、ベッドパッドやシーツのように、洗濯をしたり、すぐに買い替えたりしません。長年使います。側生地にカビが発生したり、ダニがベッドマットレスの中に潜んでしまったりすると、カビとりやダニの除去が大変です。マットレスのカビやダニの発生を防止するために、清潔なベッドパッドとシーツを、使うことが大切です。清潔な寝具で眠ると、何より、気持ちもよいものです。
2.湿気対策:寝具用除湿シートを使う
ベッドマットレスの湿気対策の強い味方が、寝具用除湿シートです。寝具用除湿シートは、ベッドのマットレスの下、ベッドの床板の上に敷いて使います。
ベッドマットレスに通じた湿気を、最後に、除湿シートでしっかり吸湿します。除湿シートで吸湿することで、ベッドマットレスとベッドの床板にたまってしまいがちな湿気を、除湿することができます。
ベッドマットレスとベッドの床板にたまる湿気を除湿しないと、ベッドマットレスの裏面の側生地や、ベッドの床板に、カビが発生してしまいます。
寝具用除湿シートは、比較的手軽なお値段で販売されています。一枚敷くことで、ベッドマットレスとベッド本体を、長く、快適に使うことができます。ぜひ、一枚、ご用意することをおすすめします。
3.湿気対策:毎朝、少しの時間でも、掛け布団を半分に折り、ベッドに滞る湿気を発散させる
毎日の、ほんの少しの、ひと手間です。朝起きて、お出かけ前までの、30分や1時間の間、ベッドの上の掛け布団を半分に折るなどして、ベッドの中にたまった湿気をなるべく発散させてしまいます。
ベッドを、頭側が壁になるように置いている方は、掛け布団をじゃばらに3つぐらいに折って、枕の上に乗る程度までたたみます。頭側が壁、とお伝えしたのは、掛け布団をじゃばら上に折りたたんで、枕の上にのせた状態にしても、壁があるので、掛け布団が落ちないからです。この状態にすると、枕の部分以外のマットレスの部分は、何ものっていません。マットレスの湿気を、より早く、より多く除湿できます。さらに、完璧にしたい場合は、その状態のマットレスに、サーキュレータや扇風機で風をあてておきます。毎日の汗や湿気を、その日のうちに、対策してしまいたい方に、おすすめの方法です。
4.汚れ対策:定期的に、布団用掃除機で、マットレスの上を吸引する
季節の変わり目など、定期的に、布団用掃除機を使って、マットレスの上を吸引しましょう。
ベッドマットレスの汚れやほこりは、ボックスシーツとベッドパッドを使っていれば、ほとんど気になりません。とはいえ、気がつかない間に、マットレスの側生地のキルティングの隙間に、ホコリがたまってしまうものです。また、ダニなどが、万が一、発生している場合もあります。
布団用掃除機を使うと、ベッドマットレスの側生地を傷めることなく、ホコリやダニ、ダニの死がいなどを吸引することができます。ホコリとダニ、ダニの死がいは、アレルギーの大きな要因になります。
頻繁でなくてもかまいません。定期的に、マットレスに、布団用掃除機をかけるようにしましょう。マットレスが長持ちしますし、健康的な眠りを楽しんでいただけます。
5.耐久性対策:ベッドマットレスを定期的に、回転させる
ベッドマットレスは、腰がのる部分に負担がかかりやすく、へたりが早くなります。腰の部分が一番重いためです。マットレスの部分的なへたり、へこみが、生じる前に、ベッドマットレスを回転させたり、裏返したりするようにします。
ダブルベッドや、クイーン、キングサイズのベッドで、お二人でお休みの場合、体の大きい方が寝る場所の方が、早く、へたります。マットレスを回転させることで、マットレスにかかる負担が、均等になります。マットレスを長くお使いいただけます。
ポイントは、へたりが生じる前に、回転させることです。
マットレスに、表裏がない場合、表裏をひっくり返して使うことも、マットレスの耐久性をアップします。コイルのマットレスは、重量があり、一人でマットレスをひっくり返すのは、はなかなか大変です。二人で行うようにしましょう。
頻度は、半年に一度、一年に一度程度で十分でしょう。
以上が、コイルのベッドマットレスのお手入れのポイントと、方法です。ベッドを長持ちさせ、清潔で快適な眠りを楽しむコツです。
コイル以外のベッドマットレスの湿気対策とお手入れ
最近は、コイル以外のベッドマットレスをお使いの方もいらっしゃいます。具体的には、低反発素材の、テンピュールのベッドマットレスや、高反発素材の、エアウィーヴやラテックスのベッドマットレスなどです。マットレストッパーなどの、厚みが数センチの商品ではなく、厚みが15cm程度以上の、マットレスタイプの商品です。
コイル以外のベッドマットレスは、コイルのベッドマットレスと異なり、マットレスの中が空洞ではありません。コイルのベッドマットレス以上に、湿気がマットレス内にこもりやすくなります。湿気対策は、コイルのベッドマットレス以上に、気をつけてするようにしましょう。
コイル以外のマットレスをお使いの場合の、湿気対策です。
1.コイル以外のマットレスの場合の湿気対策:ベッド本体の床板は、ウッドスプリングやスリットの入った板、すのこタイプを選ぶ
コイル以外のマットレスは、湿気がマットにたまりやすくなります。ベッド本体の床板が、一枚の板のタイプの上にのせると、湿気が床板やマットレスにとどまってしまいます。少しでも、通気を良くするには、床板が、ウッドスプリングや、スリットの入った板、すのこタイプを選ぶようにしましょう。通気が良くなります。
2.コイル以外のマットレスの湿気対策:寝具用除湿シートを使う
コイル以外のベッドマットレスをお使いの方は、寝具用除湿シートをお使いになることを強くおすすめいたします。ベッドのマットレスの下、ベッドの床板の上に敷きます。
寝具用除湿シートは、コイル以外のベッドマットレスにこもりがちな湿気を、しっかり吸湿します。コイル以外のベッドマットレスも、とても重量があります。ベッドから外して立てかけるなどして干すことは、現実的ではありません。
除湿シートで、積極的に、湿気を吸湿して、カビやダニの発生を防ぐようにしましょう。
3.コイル以外のマットレスの湿気対策:毎朝、少しの時間でも、掛け布団を半分に折り、ベッドに滞る湿気を発散させる
コイル以外のベッドマットレスをお使いの方は、毎朝、お出かけ前までの、30分や1時間の間、ベッドの上の掛け布団を半分に折るなどして、ベッドの中にたまった湿気をなるべく発散させてしまいます。
方法は、コイルのマットレスをお使いの方と、同じです。ただ、頻度を毎日するようにしましょう。
特に、低反発素材のベッドマットレスは、湿気がマットに大変こもりやすい商品です。湿気対策を怠ると、カビの原因になります。湿気のこもったマットレスの上で眠るのは、不快で、心地よい眠りの妨げにもなります。
できれば、掛け布団をじゃばらに3つぐらいに折って、枕の上に乗る程度までたたみ、枕の部分以外のマットレスの部分に、何ものらない状態にして、通気をさせましょう。より早く、多くの湿気を除湿できます。
さらに、その状態のマットレスに、サーキュレータや扇風機で風をあてておきましょう。低反発のマットレスや、ラテックスのマットレスをお使いの方には、特におすすめします。
4.コイル以外のマットレスの湿気対策:清潔なボックスシーツを使う
マットレスには、ボックスシーツを必ず掛けて使います。
ボックスシーツは、できれば、1週間に一度程度は、お洗濯をして、清潔に保ちます。ボックスシーツが湿ったままですと、湿気がこもりがちな、コイル以外のマットレスが、さらに湿気を帯びてしまいます。カビやダニの原因になります。
湿気対策は、快適な眠りのためです。快適な眠りには、清潔な寝具を使うことが、最初の一歩です。
5.コイル以外のマットレスの湿気対策:メーカーのお手入れ方法、湿気対策を参照する
コイル以外のマットレスは、それぞれの商品によって、独自の素材、構造、機能があります。お手入れ方法も、それぞれ異なることがあります。
必ず、お求めになった商品のメーカーが推奨する、お手入れ方法を、参照するようにしましょう。健康のために、お求めになった、コイル以外のマットレスで、より快適な眠りを楽しんでいただけます。
以上、
ベッドマットレスを干さなくてよい理由、お手入れのポイント、お手入れ方法をお伝えしました。
日本は、湿気が多く、快眠のためには、寝具の湿気対策がとても大切です。適切なお手入れで、毎日、ぐっすりと快適にお休みいただければ幸いです。
ご参考になれば幸いでございます。寝具の疑問、ご不明な点は、どうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。今晩も、どうぞぐっすりとお休みいただけますように。
この記事を書いた人
シーツjp店長。上級睡眠健康指導士(認定登録番号 第662号)。
専門分野の、快眠のための寝具の販売、及び、ご相談、ホームファニシング、インテリア販売に、1994年から従事。1923年創業の弊社の店舗にて、対面で23年間、お客さまにぐっすり眠れるための寝具のコンサルティング、ご提案、販売を担当。その経験を活かし、現在は、オンラインにて気持ちよく眠っていただくための、ベッド用寝具の販売、ご提案、ご相談に注力。
前職は、米国の航空会社のマーケティング部アジア統括スーパーバイザー。お客さまが快適で安全な空の旅を楽しんでいただくための仕事に従事。
たずさわるすべての方々とそのご家族が、ぐっすりと気持ち良く眠り、心地良く目覚め、活力いっぱいに、毎日をお幸せにお過ごしいただけるよう、仕事をしています。
ぐっすり気持ちよく眠るための寝具のご相談は、お気軽にお寄せください。