Monthly Archives: 12月 2019

年末年始の休業のご案内

毎度ご利用いただきまして、誠にありがとうございます。

誠に勝手ながら12月29日から1月6日まで、年末年始の休暇を頂戴いたします。

インターネットショップでのご注文は、24時間お受けしておりますが、メールでのご返信、お品のご発送などは、1月7日以降、随時いたします。ご不便をおかけいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

12月28日午前9時までのご注文は、在庫のある商品につきましては、即日ご発送いたします。在庫状況により、お届けが、年明けになってしまうこともございます。ご迷惑をおかけいたしますこと誠に申し訳ございません。何卒よろしくお願い申し上げます。

冬に寝汗が多い方の、寝具の選び方と使い方の工夫

冬に寝汗が多い方の、寝具の選び方と使い方の工夫

冬に寝汗が多い方の、寝具の選び方と使い方の工夫

「冬でも寝汗が多く、目覚めると汗をかいている」「寝汗が冷えて、寒くて目覚めてしまう」など、冬の寝汗でお困りの方のお声を頂戴します。ここでは、冬の寝汗が気になる理由、と、寝汗の不快さを軽減する方法をお伝えします。対処法は、寝具の使い方、選び方でできる簡単な工夫です。

目次

冬の寝汗が気になる原因

「冬なのに、寝汗が気になる」「冬になると、寝汗で目が覚めることがある」など、冬になると、寝汗の不快さが気になる、という方がいらっしゃいます。

ここでは、冬に寝汗の不快さが気になる理由、原因をお伝えします。

理由が分かると、不快さの対処法も、明確になります。ご自身の寝室環境に合わせて、対応していただきやすくなります。

本題に入る前に、お伝えしたい点があります。

  • ヒトは、睡眠中、季節に問わず、汗をかくという点です。

睡眠中の発汗は、季節に問わず、毎日行われる、ヒトのしくみです。冬でも、寝ている間、汗をかいているのです。

では、なぜ、冬になると、寝汗が気になり始める方がいらっしゃるのでしょう。

理由は、汗の湿気が、冬は、パジャマや掛け布団、毛布などの寝具にこもり、乾燥しきれない点があげられます。

寝具にこもった湿気が乾燥しきれない理由は、冬の気温の低さに加え、

  1. 冬の寝具の厚み
  2. 冬の寝具に使われる素材

にあります。

冬は気温が低く、繊維が乾きにくいことは、ご存じのとおりです。

それに加え、冬は、厚めの掛け布団を使用したり、毛布と掛け布団を重ね掛けしたりします。体に掛ける、寝具の厚みが増すのです。

詳しくお伝えします。

冬に寝汗の湿気が寝具にこもる理由1.冬の寝具の厚み

寝汗による湿気は、掛ける布団の内側から外側に移動することで、乾燥していきます。

冬は、掛ける布団、寝具に厚みがあるので、湿気の移動に時間がかかります。掛ける寝具を、壁の厚さと考えてみるとわかりやすいでしょう。夏は、壁が薄いので、湿気が速く移動し、乾きます。冬は、壁が厚いので、湿気の移動に時間がかかり、乾きにくくなるのです。

上記のことから、どうしても、冬は、湿気が、布団の中にこもりやすくなってしまうのです。

冬に寝汗の湿気が寝具にこもる理由2.冬の寝具の素材

冬の寝汗の湿気が、乾きにくく、不快に感じる、ふたつ目の理由が、冬の寝具に使われる素材の特性にあります。

具体的には、あったかシーツ、あったかパジャマ、あったか敷きパッド、ふんわり毛布などに使われる素材の特性です。

多くのあったかタイプの寝具は、アクリル、ポリエステル、マイクロファイバーなどの、合成繊維が、肌に触れる生地に使われています。

アクリル、ポリエステル、マイクロファイバーなどの合成繊維は、布団に入って、すぐに暖かさを感じる利点があります。一方、合成繊維は、疎水性繊維といって、水分を吸湿しにくく、水分が、生地に付着する、という特性もあります(石崎, 1989)。

合成繊維は水分が吸湿されにくい(石崎, 1989)

合成繊維は水分が吸湿されにくい(石崎, 1989)

合成繊維素材のあったか寝具は、吸湿性が低く、寝汗の吸湿がされにくい寝具です。睡眠中にかいた汗は、吸湿されずに、あったか寝具の表面に付着します。その湿気や水滴が、寝汗の不快さを感じやすくしてしまうのです。

冬の寝汗の不快さを感じてしまう過程は、次のとおりです。

  1. 冬の夜でも、睡眠中に発汗する
  2. 冬は、汗の湿気が、吸湿しきれなかったり、乾燥しにくかったりする
  3. 冬の寝汗による湿気や水滴が、パジャマを湿らせたり、寝具にこもる
  4. 乾燥しきれなかった汗の水分や湿気が、体や、パジャマ、毛布、敷きパッドに付着する
  5. 体に付着した汗の水滴が気になり、不快さを感じる、または、目覚める
  6. パジャマや毛布、掛け布団カバー、シーツ、あったか素材のパッドシーツなどに付着した湿気や水滴が、夜中、冷たくなる
  7. 冷たい湿気や水滴で、体が冷え、不快さを感じる、または、目覚めてしまう

冬の寝汗の不快さを軽減させる対処法

ここからは、冬の寝汗の不快さを軽減させる対処法をお伝えします。

対処法は、寝汗による湿気や水滴を、しっかり吸湿する素材の寝具を使うことです。

具体的には、次の寝具の素材、使い方を見直します。

  1. あったかパジャマ
  2. あったかシーツ、あったか敷きパッド
  3. 毛布

1.あったかパジャマ

パジャマは、肌に触れる部分が、綿100%の冬用を選ぶようにします。寝汗の不快さを軽減させるためには、ポリエステル素材のフリースやマイクロファイバー、あったかふんわりボアのパジャマは避けましょう。

「綿のパジャマは、寒いのでは?」「 冬用のパジャマで綿素材はあるの?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。

肌に触れる部分が、綿100%で、保温性を高めた、冬用パジャマが販売されています。例えば、次のような生地のパジャマです。

  • 2重ガーゼ
  • 4重ガーゼ
  • フランネル
  • 綿ニット
  • 綿キルトニット
  • 綿起毛
  • ヒートコットンなどの綿の吸湿発熱素材

上記のような、綿100%の生地のパジャマであれば、冬の寝汗をしっかり吸湿します。合成繊維素材のように、汗の湿気や水滴が、パジャマの生地に付着して、不快さや冷たさを気にすることなくお休みいただけます。

選び方の目安です。

寝汗対策重視で選びたい方

寝汗が特に多い方は、綿100%の多重ガーゼのパジャマがおすすめです。

ガーゼは、綿素材の中でも、吸湿性が高く、乾きも早い素材です。

ガーゼの速乾性については、布の乾燥速度についての実験とその結果の報文でも、その事実を伝えています。綿100%で、織り方の異なる生地の乾燥速度を比べた実験の結果、綿ガーゼが、ハチス織、ブロード織、タオル織、ニット織に比べ、乾燥度が一番高いと伝えています(山田, 1985)。

綿100%の多重ガーゼは、上記のとおり、乾きも早い素材です。さらに、ガーゼが重なっていることで、空気の層ができ、保温性も高まります。

パジャマが湿ってしまうほど冬の寝汗が多い方は、綿100%の多重ガーゼを是非、検討してみてください。紳士用、婦人用、両方販売されています。

保温性重視で選びたい方

寒さに弱い方は、綿キルトニットや綿起毛タイプがおすすめです。

綿キルトニットは、2枚の綿ニット生地の間に、ポリエステルわたを薄く置き、わたがずれないように、キルト(ミシンで押さえ縫い)がしてある生地です。綿ニット生地ですので、ひんやり感が少なく、わたが入っているので保温性もあります。

合成繊維のパジャマのような、冬の寝汗の水滴が冷たくなって身体を冷やしたり、汗がべたついたりといった心配がありません。

ふんわりあったか、ふわもこパジャマで眠りたい場合

どうしても、合成繊維のふんわりあったかもこもこパジャマがお好みの方は、綿やシルクニットの長袖の肌着を着てから、パジャマをお召になってみてください。

寝汗は、合成繊維のパジャマの生地に触れる前に、天然素材の吸湿性の高い肌着が吸湿してくれます。汗の冷たさを感じずにすみます。

2.あったかシーツ、あったか敷きパッド

最近は、合成繊維の性能が高くなり、吸湿性のある合成繊維も開発されています。あったかシーツやあったか敷きパッドの生地にも使われ始めています。

しかし、現状、多くのあったかシーツやあったか敷きパッドの、肌に触れる部分の生地には、一般的な合成繊維、ポリエステル、アクリル、マイクロファイバー、フリースなどが使われています。高性能合成繊維ではありません。

冬の寝汗の不快さを軽減させたい方は、一般的な合繊のあったかシーツやあったか敷きパッドは避けるのが得策です。

冬の寝汗の不快さを軽減させたい方で、冬用の保温性の高いシーツや敷きパッドをお使いになりたい方は、肌に触れる部分が綿、もしくは、吸湿性の高い高機能合繊が使われた商品を選ぶようにしましょう。

具体的には、次のような素材のシーツやあったか敷きパッドです。

天然素材のあったかシーツ

天然素材や高機能素材のあったか敷きパッド

敷きパッドの表面の生地に綿や高機能素材が使われているあったか敷きパッドを選びます。

綿パイル敷きパッドは、年間を通じて使えるタイプと、冬用タイプが販売されています。年間を通じて使えるタイプは、中のわたに、ポリエステル綿が使われています。冬用タイプは、セラミックわたなど、保温性の高いわたが使われています。ご自身の好みの保温性で選ぶようにしましょう。

合繊素材のあったか敷きパッドをお使いになりたい場合

どうしても、合繊素材のあったか敷きパッドを使いたい場合は、あったか敷きパッドの上に、

  • 綿素材のあったかシーツを敷く
  • 体の下だけでも、大判バスタオルを敷く

などします。

寝汗は、合繊のあったか素材に付着することなく、綿シーツやバスタオルが、しっかり吸湿します。冬の寝汗の不快さが軽減されます。

3.毛布

冬の寝汗の不快さを軽減させたい方が、毛布をお使いになる場合、天然素材の毛布を選ぶようにします。

具体的な素材は、

  • 綿毛布
  • シルク毛布
  • ウール毛布
  • カシミヤ毛布

などです。

吸湿性の高さは、綿とシルクの方が、ウールやカシミヤに比べると高くなります。保温性は、ウールやカシミヤの方が高くなります。

保温性重視か、吸湿性重視かによって、お選びになるのが良いでしょう。

合繊素材の毛布をお使いになりたい場合

冬の汗の不快さを軽減させたい方が、ニューマイヤー毛布、マイヤー毛布、フリース毛布、マイクロファイバー毛布などの、合成繊維素材の毛布をお使いになりたい場合は、ガーゼの毛布カバーを掛けることをおすすめします。

寝汗の湿気や水滴が、アクリルやポリエステル素材の毛布に付着する前に、綿ガーゼが吸湿します。冬の寝汗の不快さが、軽減されます。

2人寝ベッドで、一人だけ冬の寝汗が気になる場合の対処法

1台のベッドに、お二人でお休みになっている方もいらっしゃるでしょう。具体的には、ダブル、ワイドダブル、クイーン、キングサイズのベッドにお二人でお休みになっている場合です。

お二人が、保温性の高さの好みや体質が近い場合は、問題がありません。ただ、お一人だけ、寒がり、寝汗が多い、ということも少なくありません。

お一人だけ、冬の寝汗の不快さが気になる場合の対処法です。

2人寝用ベッドサイズのあったか寝具を使っている場合

ダブルサイズ、クイーンサイズ、キングサイズのあったか寝具を使っている場合で、お一人だけ、冬の寝汗の不快さが気になる場合、

  • 気にされる方の寝る部分だけ、綿フラットシーツを敷いて使う

    フラットシーツをのせるだけでは、シーツがずれてしまう場合は、サイドと足元だけ、マットレスの下にシーツを入れ込んで使うようにします。

  • 気にされる方の寝る部分だけ、大判バスタオルをのせてその上に寝る

    寝汗を、あったか寝具の素材に付着する前に、大判バスタオルで吸湿します。大判バスタオルですと、洗濯も簡単です。大きいサイズのベッドシーツを、頻繁に洗う手間が省けます。

    バスタオルをのせるだけでは、見栄えが悪い、タオルがずれて使いにくい、という場合は、ボックスシーツの下にバスタオルを入れ込みます。ベッドパッドの上の、汗が気になる方が眠る部分に、大判バスタオルをのせ、その上から、ベッドサイズのボックスシーツをかぶせます。見た目も気にならず、ずれも少なく、汗をしっかり吸湿してくれます。

  • 気にされる方だけ、シングルのガーゼケットを使う

    ダブルやクイーンサイズのニューマイヤー毛布などを使っている場合、寝汗の不快さが気になる方だけ、毛布の下、体の上に、シングルサイズの綿のガーゼケットを使うと、汗を吸湿してくれます。

    綿のガーゼケットの代わりに、綿ガーゼの掛け布団カバーに、布団を入れずに使うのもおすすめです。

    綿ガーゼの掛け布団カバーに、布団を入れずに使うと、ガーゼケットより厚みがなく、ふんわりとして、アッパーシーツのようにお使いいただけます。綿のカバーのようなひんやり感もありません。汗はしっかり吸湿しますので、冬の寝汗の不快さも軽減されます。

2人寝用ベッドサイズでお一人だけ冷え性の場合

「寝汗の気になる方に合わせて、綿素材の寝具を使っているけれど、私は冷え症なので、できれば、あったか寝具使いたい」という方もいらっしゃいます。

その場合は、その方の下だけ、あったか素材の敷き毛布を敷いたり、シングルサイズのあったか毛布を掛けたりするようにしましょう。敷き毛布をボックスシーツの上にのせるだけではずれてしまう場合は、サイドと足元だけしっかりとマットレスの下に入れ込んで使うとよいでしょう。

足元や腰など、ベッドを部分的に温めたい方の、毛布の活用法」も、参考になさってみてください。

以上、
冬の寝汗が気になる場合に、寝具の使い方の工夫で、できる対処法をお伝えしました。冷たい汗で体が冷えてしまわないよう、暖かく、ぐっすりと快眠をお楽しみいただければ幸いです。

 
 
 

脚注

文献

山田 昌子, 布の乾燥速度について,繊維学会誌,Vol41, No.6, PP.248-254, 1985.

石崎 舜三, 親水性繊維と疎水性繊維 : 水の挙動(<特集>見てきたような分子のはなし : 暮らしの中のポリマー (I)),化学と教育,Vol37, No.2, PP.151-155, 1989.

お酒を飲むと早く眠れる? 寝酒をしても良いの? 飲酒と睡眠の関係

お酒を飲むと早く眠れる? 寝酒をしても良いの? 飲酒と睡眠の関係

お酒を飲むと早く眠れる? 寝酒をしても良いの? 飲酒と睡眠の関係

「お酒を飲むと眠くなってしまう」、「お酒を飲むとすぐに眠れる」など、お酒と眠気についてのお声をお聞きします。眠りにつくために、寝酒をしている方もいらっしゃるかもしれません。ここでは、飲酒と眠気の関係、と、寝酒の是非をお伝えします。質の良い睡眠で健康でいるためのヒントにしていただければ幸いです。

目次

お酒を飲むと、早く眠れる? 飲酒と眠気の関係

「お酒を飲むと、なんだか眠くなる」「お酒を飲むと、すっと眠れる」など、感じたことがある方は多いかもしれません。ここでは、飲酒と眠気の関係を、お伝えします。

結論からお伝えすると、飲酒することで、眠気は強まるとされています。アルコールの中枢神経抑制作用というはたらきによって、眠りを誘うのです(宮崎、佐藤, 2013)。

事実を知るために、専門家の声をいくつかみていきましょう。

まず、神経科学の専門家で、医学博士の池田和隆氏の文献を紹介します。池田氏は、アルコールと催眠作用について、アルコールは睡眠誘導作用があるとした上で、次のように記しています(池田、小林、曽良,2002)。

エタノールでは催眠作用があるので、アルコールを投与したマウスを仰向けに寝かせると数十分間そのままの姿勢をとる。

(池田、小林、曽良,2002)

エタノールは、アルコールに含まれる成分です。上記は、アルコール摂取、飲酒によって、眠気が促される作用がある、と、調査結果による事実を伝えています。

次に、睡眠学の専門家で、医学博士の宮崎総一郎氏の、アルコールと睡眠についての文章を紹介します。宮崎氏は、著書の中で、次のように記しています。

アルコールには、中枢神経抑制作用があり、鎮静・睡眠作用をもたらす。
中略。
一般に適量のアルコールは入眠を早め、深い睡眠を増加させる。

(宮崎、林,2017)

上記は、アルコールの薬理作用で、リラックスや睡眠を促すと伝えています。さらに、宮崎氏は、飲酒によって、眠りにつきやすくなる、とも知らせてくれているのです(宮崎、林,2017)。

私たちが「お酒を飲むと、なんだか眠くなる」「お酒を飲むと、すっと眠れる」と感じていたことは、科学的に事実であると捉えていいのでしょう。

だとすると、

  • 「眠れないときは、お酒を飲めばいいの?」
  • 「寝酒をすればいいのね?」

と思われる方もいらっしゃるでしょう。

この点が、今回一番お伝えしたい点です。次の項目で詳しくお伝えしていきます。

早く眠れるなら、寝酒は良いの? 寝酒の是非

「飲酒で早く眠れるなら、寝酒は良いの?」

結論からお伝えします。飲酒で睡眠は誘発されますが、寝酒はおすすめしません。

睡眠学、臨床心理学の専門家で医学博士の堀忠雄氏は、著書の中で、はっきりと次のように記しています。

アルコールを飲むと眠りにつきやすいという人がいる。しかし、入眠のためにアルコールを使うのはよくない。

(堀, 2000)

堀氏は、アルコールが、鎮静作用と睡眠作用があることを認めた上で、飲酒の導眠剤的な使い方は避けるように伝えているのです。

堀氏のみではなく、睡眠学の専門家の方々も、そろって、寝酒は避けるように伝えています。

その理由を、アルコールと睡眠の関係性の、次の二つの側面から説明しています。

  • アルコールが睡眠に与える作用
  • アルコール耐性が上がることでの弊害

ひとつずつ解説していきます。

寝酒をおすすめしない理由1.アルコールが睡眠に与える作用

寝酒をおすすめしない理由として、伝えられているのが、アルコールの睡眠への作用です。

最初にお伝えした通り、飲酒は、入眠を促します。しかし、その後の、作用が問題となるのです。アルコールが睡眠に影響を及ぼす様子を、箇条書きにしてお伝えします。

アルコールが睡眠に作用する点

  1. 眠る前の適量のアルコールは入眠を早め、寝つきを良くする
  2. 一定時間の経過で、アルコールによる代謝と排泄が素早く行われる
  3. 利尿作用によって目が覚める
  4. アルコールの血中濃度が低下する
  5. アルコールの血中濃度が低下し、その濃度の影響で、覚醒効果が作用する
  6. 覚醒効果が作用すると、眠りが浅くなる、目が覚めやすくなる、レム睡眠が増加する
  7. 眠りの後半で目が覚めてしまうと、睡眠周期のタイミングがずれ、再入眠が難しくなる
  8. 睡眠後半の眠りの質が悪くなる

(宮崎、林, 2017)

寝酒をすると、寝つきは良くなります。ただ、眠りに入った後、途中で目が覚めやすくなったり、眠りが浅くなったりし、睡眠の質の低くなってしまうのです。

お酒を飲むことを否定しているのでは全くありません。お酒を飲む夜ももちろんあるでしょう。ここでお伝えしたいのは、ぐっすりと眠る目的で、寝酒をすることは、結果的に、睡眠の質の低下につながる、とお伝えしたいのです。

寝酒をおすすめしない理由2.アルコール耐性が上がることでの弊害

寝酒をおすすめしない理由のもう一つが、アルコールの耐性が上がることでの、睡眠に対する弊害です。弊害とは、具体的には、アルコールの依存と睡眠障害です(堀,2000)。

アルコールの耐性が上がることの弊害の流れを、箇条書きでお伝えします。

アルコールの耐性が上がることの弊害の流れ

  1. ぐっすり眠るために、寝酒をする
  2. 寝酒を繰り返す
  3. アルコール耐性が上がる
  4. アルコール耐性が上がると、アルコールによる催眠作用が低下する
  5. 寝酒しているのに、眠れなくなる、不眠になる
  6. 不眠を解消するために、酒量が増える
  7. アルコールに対して依存性が促進されやすくなる
  8. アルコールの依存性が高まると、睡眠の質の低下、睡眠障害を招きやすい
  9. 睡眠の質の低下、不眠につながりやすい

(宮崎、林, 2017)

良く眠りたい気持から、寝酒を習慣にすると、飲酒を繰り返すことで、アルコール、寝酒の効き目がなくなっていくのです。寝酒の効き目がない、とわかった時点で、寝酒をやめれば、上記の悪循環を止められます。寝酒の効き目が薄れていくに従い、酒量を増やし、寝酒を続けると、上記のような悪循環を招いてしまうのです。

先出の、睡眠学の専門家であり医学博士の堀氏は、アルコール耐性の上昇による、睡眠への弊害を次のような言葉を使って伝えています。

アルコール耐性が上がり、酒量も増える。連日の大量アルコールで睡眠は歪められ、不眠が進行する。こうして比較的短期間に、アルコール依存症と不眠症ができあがる。

(堀,2000)

堀氏は、自身の著書の中で、上記を明言しているのです。引用文は明確で、補足の説明はいらないでしょう。

もうお一方、専門家の言葉をお伝えします。睡眠学が専門で、医学博士の宮崎総一郎氏の著書での言葉です。

アルコールは入眠を促進するが、睡眠後半では睡眠内容を悪化させ、結果として睡眠障害の原因となる。

(宮崎、林, 2017)

宮崎氏も、著書で、明確に、寝酒の習慣による弊害を伝えています。

繰り返しになりますが、この記事では、飲酒の是非を伝えているのではありません。ぐっすりと眠りたいという目的で、寝酒を習慣にすることの是非をお伝えしています。

ぐっすり眠りたい、という気持ちや目的が、期待とは逆の結果を招いていたら、とても残念であるということを、お伝えしたかったのです。

最後に、先出の堀氏が、夜のお酒の飲み方について、伝えている言葉を引用します。

気持ちをコントロールするための少量のアルコールはかまわないが、せめて寝る直前ではなくて、寝る一時間前までに切り上げるのが大切である。そうすれば、少なくともアルコール依存症にはならないですむ。

(堀, 2000)

毎日の心地よい睡眠、質の良い睡眠で、元気にお過ごしいただければ幸いです。

 
 
 

脚注

文献

堀忠雄、(2008)『睡眠心理学』株式会社北大路書房.

堀忠雄、白川修一郎、(2008)『基礎講座 睡眠改善学』一般財団法人日本睡眠改善協議会.

宮崎総一郎、林光緒、(2017) 『睡眠と健康』一般財団法人放送大学養育振興会.

宮崎総一郎, 佐藤尚武、(2013) 『医療・看護・介護のための睡眠検定ハンドブック』株式会社全日本病院出版会.

池田 和隆, 小林 徹, 曽良 一郎,アルコールと脳機能,日本醸造協会誌,Vol97, No.2, PP.124-130, 2002.

畳ベッドにベッドマットレスは使えますか? 畳ベッドの使い方

「畳ベッドにベッドマットレスは使えますか?」畳ベッドの使い方

「畳ベッドにベッドマットレスは使えますか?」畳ベッドの使い方

「畳ベッドの上に、スプリングマットレスをのせて使えますか?」「 畳ベッドは、普通のベッドのように使っていいのですか?」と、お問い合わせを頂戴します。ベッドを検討中の方が、畳ベッドの使い方で迷われる場合があるようです。ここでは、畳ベッドの使い方を、疑問にお答えしながらお伝えします。使い方の注意点もどうぞお役立てください。

目次

畳ベッドの上には何を敷けばよいですか?

「畳ベッドの上には何を敷けばよいですか?」

畳ベッドの上には、敷き布団や、フロアータイプの健康マットレスを敷いて寝ます。フローリングや畳のお部屋で使用する、和タイプの寝具です。

ここでお伝えしている、畳ベッドとは、ベッドの表面、床板、が、畳になっているベッドのことです。畳ベッドは、ベッドのように高さがあるが、寝る部分は、畳。イメージ的には、畳のお部屋の、眠る部分だけ、高くなっている、というイメージです。

畳ベッドの上で使う、具体的な、敷き寝具は次の通りです。

どの敷き布団があなたに適しているか、は、「敷き布団の種類とお好みによる選び方」を、ご参考にしてみてください。お好みに合った敷き布団を選ぶのがよいでしょう。

畳ベッドの布団は、たたまないとだめですか?

「畳ベッドの布団は、たたまないとだめですか?」

畳ベッドで使用する寝具は、和室の畳で眠るときと同様に、毎日たたみ、収納するようにします。敷きっぱなしにはしないようにしましょう。

敷き布団を敷きっぱなしにすると、畳ベッドの畳の部分に、カビが発生しやすくなってしまいます。和室で寝具を使う場合と、まったく同様です。

敷き布団は、中わたに湿気がたまりやすい寝具です。畳ベッドの上に敷きっぱなしにすると、湿気を帯びた敷き布団と畳の表面、両方にカビが発生しやすくなってしまいます。清潔な寝具で、心地よく眠るために、畳ベッドで使う寝具は、毎日たたんで収納するようにしましょう。

畳ベッドの上の寝具を毎日収納すれば、畳ベッドを小上がりのように、スペースを有効活用できる利点もあります。畳ベッドをお選びになる方は、畳のスペースやインテリアを楽しみの一つにするのがおすすめです。

「ベッドにしたのに、寝具の収納しなくてはいけないの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。畳ベッドは、普通のベッドとは異なり、和タイプの寝具を使いたい方向けです。寝具の収納が面倒という方は、畳ベッドではなく、普通のベッドをお選びになるのがよいでしょう。

畳ベッドの上に、スプリングマットレスをのせて使えますか?

「畳ベッドの上に、スプリングマットレスをのせて使えますか?」

畳ベッドには、ベッドのコイルマットレス、スプリングマットレス、ベッド用フォームマットレスなど、敷きっぱなしになるベッド用マットレスはおすすめしません。

理由は、畳ベッドの上にベッド用のマットレスを敷きっぱなしにすると、ベッドの畳の部分にカビが発生してしまうからです。

ベッドのマットレスは、ベッドの上に24時間、設置したまま使用する前提で作られています。そのため、ベッドのマットレスの中には、湿気がこもらないよう、通気が良くできています。

ベッドマットレスの内部に、湿気がこもりにくくなっているということは、一晩でかく汗による湿気や部屋の湿気は、ベッドのマットレスの側面か、下に向かって移動します。

下に向かった湿気は、畳ベッドの畳の部分が全部、吸湿してしまいます。畳ベッドの上に、ベッドマットレスをのせたままにしておくと、畳の部分が空気に触れず、湿気を放湿することが難しくなります。そのため、カビの発生の原因となってしまうのです。

畳ベッドの湿気対策。寝具用除湿シート

畳ベッドの湿気対策。寝具用除湿シート

どうしても、畳ベッドの上に、ベッド用のマットレスを敷く場合は、ベッドマットレスと畳の間に、布団用の除湿シートを使用するようにしましょう。カビの発生の予防になります。

畳ベッドは、普通のベッドのように使っていいのですか?

「畳ベッドは、普通のベッドのように使っていいのですか?」

畳ベッドは、普通のベッドの使い方と異なります。ベッドで使う、ベッド用寝具は使いません。

畳ベッドでは、畳の上で寝る時と同様の寝具を、同様のお手入れで、使用することをおすすめします。布団を敷く部分の位置が、高くなっただけ、とイメージしていただくといいでしょう。

畳ベッドの場合は、畳ベッドで使用する寝具を、毎日、片づけて収納することが基本になります。

畳ベッドを使う際の注意点

畳ベッドを使う際の注意点は、

  1. 使う寝具の収納と、
  2. 畳の湿気対策です。

1.使う寝具の収納

畳ベッド、という名称から、敷き布団を敷きっぱなしにして使えるベッド、と、誤解をされる場合もあります。誤解です。畳ベッドには、敷き布団を使いますが、布団は、敷きっぱなしにせず、たたんで、収納します。

畳の上で寝具を使う場合と、同様に、布団を毎日上げ下ろしをして使います。心地よい布団で、快適に眠るためです。

2.畳の湿気対策

畳ベッドの上に、寝具を敷きっぱなし、寝具を置いたままにすると、畳のカビの原因になります。

和室の畳は、ご存じの通り、湿気を帯びると、カビが発生しやすくなります。畳ベッドの畳も、同様です。湿気を帯びないように、風を通したり、通気をすることが大切です。

具体的には、

  • 畳ベッドの上で使用する寝具は、たたんで収納するようにする
  • 湿気の多い季節は、日中、布団をのせていない時に、サーキュレータなどを使い、通気をして、除湿をする
  • 畳の部分を、掃除機を使ってきちんと掃除をする、など

のお手入れをするようにしましょう。

どうしても、畳ベッドの上で、ベッドマットレスを使用する場合や、寝具を毎日収納できない場合は、ベッドのサイズに適した除湿シートを使用するようにします。

畳ベッドでの、除湿シートの使い方

  • 畳ベッドの上で、除湿シートを使う場合は、畳の部分の上、マットレスや敷き布団の下に敷きます。
  • シーツの洗濯をする際に、除湿シートの、吸湿センサーをチェックします。
  • もし、除湿シートに湿気がたまっていると、センサーの色が変わります。
  • 干すサインが出ていたたら、ベッドから外し、天日や陰干しをして、放湿させます。
  • 放湿後、再度、畳の上に敷き、使用します。
除湿センサーが、干すタイミングをお知らせ

除湿センサーが、干すタイミングをお知らせ

毎日、心地よい寝具で眠るために、簡単にできる湿気対策です。

畳ベッドでカビを防止するおすすめアイテム

本記事でご紹介した、畳ベッドで、カビを防止するための、お役立ちアイテムです。カビが気になる方、ぜひ、ご用意ください。

寝具用除湿シート からっと寝

畳ベッドのカビ防止におすすめ 寝具用除湿シート からっと寝

畳ベッドで安眠したい方におすすめマットレス

睡眠の質にこだわり、安眠で体調を整えたいという方は、畳の上でも使える、健康マットレスを選ぶのがよいでしょう。下記、おすすめのマットレスです。

 
以上です。

畳ベッドは、畳の上で寝る寝心地を保ったまま、和室で眠るより、寝起きを楽にしていただけます。高さがある分、寝起きをする際に、膝や腰に負担がかからないからです。

布団の上げ下ろしも、布団の敷いてある位置が高い分、楽にしていただけるでしょう。

畳ベッドに適した、あなたのお好みや体に合った寝具で、毎日快眠をしていただければ幸いです。