冬に寝汗が多い方の、寝具の選び方と使い方の工夫

「冬でも寝汗が多く、目覚めると汗をかいている」「寝汗が冷えて、寒くて目覚めてしまう」など、冬の寝汗でお困りの方のお声を頂戴します。ここでは、冬の寝汗が気になる理由、と、寝汗の不快さを軽減する方法をお伝えします。対処法は、寝具の使い方、選び方でできる簡単な工夫です。

冬に寝汗が多い方の、寝具の選び方と使い方の工夫

冬に寝汗が多い方の、寝具の選び方と使い方の工夫

目次

冬の寝汗が気になる原因

「冬なのに、寝汗が気になる」「冬になると、寝汗で目が覚めることがある」など、冬になると、寝汗の不快さが気になる、という方がいらっしゃいます。

ここでは、冬に寝汗の不快さが気になる理由、原因をお伝えします。

理由が分かると、不快さの対処法も、わかりやすくなりますし、ご自身の寝室環境に合わせて活用や応用をしていただきやすくなります。

本題に入る前に、お伝えしたいのは、ヒトは、睡眠中、季節に問わず、汗をかくという点です。睡眠中の発汗は、季節に問わず、毎日行われるヒトのしくみです。冬でも、寝ている間、汗をかいているのです。

では、なぜ、冬になると、寝汗が気になり始める方がいらっしゃるのでしょう。

理由は、汗の湿気が、冬は、パジャマや掛け布団、毛布などの寝具にこもり、乾燥しきれない点があげられます。

寝具にこもった湿気が乾燥しきれない理由は、冬の気温の低さに加え、

  1. 冬の寝具の厚み
  2. 冬の寝具に使われる素材

にあります。

冬は気温が低く、繊維が乾きにくいことは、ご存じのとおりです。

それに加え、冬は、厚めの掛け布団を使用したり、毛布と掛け布団を重ね掛けしたりします。体に掛ける、寝具の厚みが増すのです。

冬に寝汗の湿気が寝具にこもる理由1.冬の寝具の厚み

寝汗による湿気は、掛ける布団の内側から外側に移動することで、乾燥していきます。

冬は、掛ける布団、寝具に厚みがあるので、湿気の移動に時間がかかるのです。掛ける寝具を、壁の厚さと考えてみるとわかりやすいでしょう。夏は、壁が薄いので、湿気が速く移動し、乾きます。冬は、壁が厚いので、湿気の移動に時間がかかり、乾きにくくなるのです。

上記のことから、どうしても、冬は、湿気が、布団の中にこもりやすくなってしまうのです。

冬に寝汗の湿気が寝具にこもる理由2.冬の寝具の素材

冬の寝汗の湿気が、乾きにくく、不快に感じる、ふたつ目の理由が、冬の寝具に使われる素材の特性にあります。

具体的には、あったかシーツ、あったかパジャマ、あったか敷きパッド、ふんわり毛布などに使われる素材の特性です。

多くのあったかタイプの寝具は、アクリル、ポリエステル、マイクロファイバーなどの、合成繊維が、肌に触れる生地に使われています。

アクリル、ポリエステル、マイクロファイバーなどの合成繊維は、布団に入って、すぐに暖かさを感じる利点があります。一方、合成繊維は、疎水性繊維といって、水分を吸湿しにくく、水分が、生地に付着する、という特性もあります(石崎, 1989)。

合成繊維は水分が吸湿されにくい(石崎, 1989)

合成繊維は水分が吸湿されにくい(石崎, 1989)

合成繊維素材のあったか寝具は、吸湿性が低く、寝汗の吸湿がされにくい寝具です。睡眠中にかいた汗は、吸湿されずに、あったか寝具の表面に付着します。その湿気や水滴が、寝汗の不快さを感じやすくしてしまうのです。

冬の寝汗の不快さを感じてしまう過程は、次のとおりです。

  1. 冬の夜でも、睡眠中に発汗する
  2. 冬は、汗の湿気が、吸湿しきれなかったり、乾燥しにくかったりする
  3. 冬の寝汗による湿気や水滴が、パジャマを湿らせたり、寝具にこもる
  4. 乾燥しきれなかった汗の水分や湿気が、体や、パジャマ、毛布、敷きパッドに付着する
  5. 体に付着した汗の水滴が気になり、不快さを感じる、または、目覚める
  6. パジャマや毛布、掛け布団カバー、シーツ、あったか素材のパッドシーツなどに付着した湿気や水滴が、夜中、冷たくなる
  7. 冷たい湿気や水滴で、体が冷え、不快さを感じる、または、目覚めてしまう

冬の寝汗の不快さを軽減させる対処法

ここからは、冬の寝汗の不快さを軽減させる対処法をお伝えします。

対処法は、明確です。寝汗による湿気や水滴を、しっかり吸湿する素材の寝具を使うことです。

具体的には、次の寝具の素材、使い方を見直します。

  1. あったかパジャマ
  2. あったかシーツ、あったか敷きパッド
  3. 毛布

1.あったかパジャマ

パジャマは、肌に触れる部分が、綿100%の冬用を選ぶようにします。寝汗の不快さを軽減させるためには、ポリエステル素材のフリースやマイクロファイバー、あったかふんわりボアのパジャマは避けましょう。

「綿のパジャマは、寒いのでは?」「 冬用のパジャマで綿素材はあるの?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。

肌に触れる部分が、綿100%で、保温性を高めた、冬用パジャマが販売されています。例えば、次のような生地のパジャマです。

  • 2重ガーゼ
  • 4重ガーゼ
  • フランネル
  • 綿ニット
  • 綿キルトニット
  • 綿起毛
  • ヒートコットンなどの綿の吸湿発熱素材

上記のような、綿100%の生地のパジャマであれば、冬の寝汗をしっかり吸湿します。合成繊維素材のように、汗の湿気や水滴が、パジャマの生地に付着して、不快さや冷たさを気にすることなくお休みいただけます。

選び方の目安です。

寝汗対策重視で選びたい方

寝汗が特に多い方は、綿100%の多重ガーゼのパジャマがおすすめです。ガーゼは、綿素材の中でも、吸湿性が高く、乾きも早い素材です。

ガーゼの速乾性については、布の乾燥速度についての実験とその結果の報文でも、その事実を伝えています。綿100%で、織り方の異なる生地の乾燥速度を比べた実験の結果、綿ガーゼが、ハチス織、ブロード織、タオル織、ニット織に比べ、乾燥度が一番高いと伝えています(山田, 1985)。

綿100%の多重ガーゼは、上記のとおり、乾きも早い素材です。さらに、ガーゼが重なっていることで、空気の層ができ、保温性も高まります。

パジャマが湿ってしまうほど冬の寝汗が多い方は、綿100%の多重ガーゼを是非、検討してみてください。紳士用、婦人用、両方販売されています。

保温性重視で選びたい方

寒さに弱い方は、綿キルトニットや綿起毛タイプがおすすめです。綿キルトニットは、2枚の綿ニット生地の間に、ポリエステルわたを薄く置き、わたがずれないように、キルト(ミシンで押さえ縫い)がしてある生地です。綿ニット生地ですので、ひんやり感が少なく、わたが入っているので保温性もあります。

合成繊維のパジャマのような、冬の寝汗の水滴が冷たくなって身体を冷やしたり、汗がべたついたりといった心配がありません。

ふんわりあったか、ふわもこパジャマで眠りたい場合

どうしても、合成繊維のふんわりあったかもこもこパジャマがお好みの方は、綿やシルクニットの長袖の肌着を着てから、パジャマをお召になってみてください。寝汗は、合成繊維のパジャマの生地に触れる前に、天然素材の吸湿性の高い肌着が吸湿してくれます。汗の冷たさを感じずにすみます。

2.あったかシーツ、あったか敷きパッド

最近は、合成繊維の性能が高くなり、吸湿性のある合成繊維も開発されています。あったかシーツやあったか敷きパッドの生地にも使われ始めています。

ただ、現状、多くのあったかシーツやあったか敷きパッドの、肌に触れる部分の生地には、高性能合成繊維ではなく、一般的な合成繊維、ポリエステル、アクリル、マイクロファイバー、フリースなどが使われています。冬の寝汗の不快さを軽減させたい方は、一般的な合繊のあったかシーツやあったか敷きパッドは避けるのが得策です。

冬の寝汗の不快さを軽減させたい方で、冬用の保温性の高いシーツや敷きパッドをお使いになりたい方は、肌に触れる部分が綿、もしくは、吸湿性の高い高機能合繊が使われた商品を選ぶようにしましょう。

具体的には、次のような素材のシーツやあったか敷きパッドです。

天然素材のあったかシーツ

天然素材や高機能素材のあったか敷きパッド

敷きパッドの表面の生地に綿や高機能素材が使われているあったか敷きパッドを選びます。

綿パイル敷きパッドは、年間を通じて使えるタイプと、冬用タイプが販売されています。年間を通じて使えるタイプは、中のわたに、ポリエステル綿が使われています。冬用タイプは、セラミックわたなど、保温性の高いわたが使われています。ご自身の好みの保温性で選ぶようにしましょう。

合繊素材のあったか敷きパッドをお使いになりたい場合

冬の寝汗の不快さを避けたい方が、どうしても、合繊素材のあったか敷きパッドを使いたい場合は、あったか敷きパッドの上に、

  • 綿素材のあったかシーツを敷く
  • 体の下だけでも、大判バスタオルを敷く

などします。寝汗は、合繊のあったか素材に付着することなく、綿シーツやバスタオルが、しっかり吸湿します。冬の寝汗の不快さが軽減されます。

3.毛布

冬の寝汗の不快さを軽減させたい方が、毛布をお使いになる場合、天然素材の毛布を選ぶようにします。具体的な素材は、

  • 綿毛布
  • シルク毛布
  • ウール毛布
  • カシミヤ毛布

などです。

吸湿性の高さは、綿とシルクの方が、ウールやカシミヤに比べると高くなります。保温性は、ウールやカシミヤの方が高くなります。

保温性重視か、吸湿性重視かによって、お選びになるのが良いでしょう。

合繊素材の毛布をお使いになりたい場合

冬の汗の不快さを軽減させたい方が、ニューマイヤー毛布、マイヤー毛布、フリース毛布、マイクロファイバー毛布などの、合成繊維素材の毛布をお使いになりたい場合は、ガーゼの毛布カバーを掛けることをおすすめします。

寝汗の湿気や水滴が、アクリルやポリエステル素材の毛布に付着する前に、綿ガーゼが吸湿します。冬の寝汗の不快さが、軽減されます。

2人寝ベッドで、一人だけ冬の寝汗が気になる場合の対処法

1台のベッドに、お二人でお休みになっている方もいらっしゃるでしょう。具体的には、ダブル、ワイドダブル、クイーン、キングサイズのベッドにお二人でお休みになっている場合です。

お二人が、保温性の高さの好みや体質が近い場合は、問題がありません。ただ、お一人だけ、寒がり、寝汗が多い、ということも少なくありません。

お一人だけ、冬の寝汗の不快さが気になる場合の対処法です。

2人寝用ベッドサイズのあったか寝具を使っている場合

ダブルサイズ、クイーンサイズ、キングサイズのあったか寝具を使っている場合で、お一人だけ、冬の寝汗の不快さが気になる場合、

  • 気にされる方の寝る部分だけ、綿フラットシーツを敷いて使う

    フラットシーツをのせるだけでは、シーツがずれてしまう場合は、サイドと足元だけ、マットレスの下にシーツを入れ込んで使うようにします。

  • 気にされる方の寝る部分だけ、大判バスタオルをのせてその上に寝る

    寝汗を、あったか寝具の素材に付着する前に、大判バスタオルで吸湿します。大判バスタオルですと、洗濯も簡単です。大きいサイズのベッドシーツを、頻繁に洗う手間が省けます。

    バスタオルをのせるだけでは、見栄えが悪い、タオルがずれて使いにくい、という場合は、ボックスシーツの下にバスタオルを入れ込みます。ベッドパッドの上の、汗が気になる方が眠る部分に、大判バスタオルをのせ、その上から、ベッドサイズのボックスシーツをかぶせます。見た目も気にならず、ずれも少なく、汗をしっかり吸湿してくれます。

  • 気にされる方だけ、シングルのガーゼケットを使う

    ダブルやクイーンサイズのニューマイヤー毛布などを使っている場合、寝汗の不快さが気になる方だけ、毛布の下、体の上に、シングルサイズの綿のガーゼケットを使うと、汗を吸湿してくれます。

    綿のガーゼケットの代わりに、綿ガーゼの掛け布団カバーに、布団を入れずに使うのもおすすめです。

    綿ガーゼの掛け布団カバーに、布団を入れずに使うと、ガーゼケットより厚みがなく、ふんわりとして、アッパーシーツのようにお使いいただけます。綿のカバーのようなひんやり感もありません。汗はしっかり吸湿しますので、冬の寝汗の不快さも軽減されます。

2人寝用ベッドサイズでお一人だけ冷え性の場合

「寝汗の気になる方に合わせて、綿素材の寝具を使っているけれど、私は冷え症なので、できれば、あったか寝具使いたい」という方もいらっしゃいます。

その場合は、その方の下だけ、あったか素材の敷き毛布を敷いたり、シングルサイズのあったか毛布を掛けたりするようにしましょう。敷き毛布をボックスシーツの上にのせるだけではずれてしまう場合は、サイドと足元だけしっかりとマットレスの下に入れ込んで使うとよいでしょう。

足元や腰など、ベッドを部分的に温めたい方の、毛布の活用法」も、参考になさってみてください。

以上、
冬の寝汗が気になる場合に、寝具の使い方の工夫で、できる対処法をお伝えしました。冷たい汗で体が冷えてしまわないよう、暖かく、ぐっすりと快眠をお楽しみいただければ幸いです。

 
 
 
文献

山田 昌子, 布の乾燥速度について,繊維学会誌,Vol41, No.6, PP.248-254, 1985.

石崎 舜三, 親水性繊維と疎水性繊維 : 水の挙動(<特集>見てきたような分子のはなし : 暮らしの中のポリマー (I)),化学と教育,Vol37, No.2, PP.151-155, 1989.


ご参考になれば幸いでございます。寝具の疑問、ご不明な点は、どうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。今晩も、どうぞぐっすりとお休みいただけますように。

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