「ベッドマットレスは、何年ぐらい使えるのですか?」、「ベッドのマットレスは、いつ取り換えればよいですか?」など、ベッドのマットレスの寿命や、買い替え時期に関するお問い合わせを頂戴します。ここでは、ベッドのコイルスプリングマットレスの寿命と、交換時期の目安、取替え前にチェックしたいこと、交換の時期をのばす方法をお伝えします。
目次
ベッドのコイルマットレスの寿命
ベッドのマットレスは、中の素材によって、寿命が異なります。
ベッドマットレスの中の素材は、数種類あります。一般的な、マットレスの中に、コイルが入ったタイプや、テンピュールなどの低反発素材などのフォームタイプ、エアーウィーヴなどの高反発タイプのファイバータイプなどです。
この記事では、マットレスの中にコイルが入った、スプリングコイルマットレスの寿命についてお伝えします。
「ベッドマットレスは、何年ぐらい使えるのですか?」
中にコイルの入ったベッドのマットレスの寿命、耐久年数は、10年程度が目安とされています。
目安、と、お伝えしたのは、使い方、環境、マットレスの品質や種類によって、耐久年数が、10年より早まったり、長く使えたりするからです。
ベッドメーカーでは、寿命を何年としているか、実例を見てみましょう。ご紹介するのは、いずれも、品質の確かなベッドマットレスを製造しているメーカーさまの表記です。
ご紹介するメーカーさま、いずれも、目安は、10年程度とされています。下記、どうぞ詳細をご確認ください。
シモンズベッドのシモンズ株式会社さま
シモンズさまのベッドは、ホテルにも多く採用されております。シモンズさまは、ホテルでの利用と、ご家庭での利用の場合とで、耐久性の目安を下記のように、案内されていらっしゃいます。
使用状況や頻度、寝室環境により異なりますが、一般的にホテル様では8年~10年を目安にマットレスの入れ替えを行なっております。ご家庭でのマットレス交換の目安は約10年となります。
(シモンズ株式会社 よくあるご質問 マットレスの寿命はどのくらい?)
フランスベッドのフランスベッド株式会社さま
フランスベッド株式会社さまは、フランスベッド製のマットレスの寿命を、平均で10年間と伝えてらっしゃいます。フランスベッド株式会社さまのフェイスブックのページ内で、大変詳しく、マットレスの寿命についてお伝えしてくださっています。参考になられるとよろしいかと存じます。
マットレスの耐久年数は、種類や使い方により異なって参ります。 中略
定期的なお手入れを行ったと仮定した耐久テストにおいて、フランスベッド製マットレスの寿命は平均で10年間となります。
(フランスベッド株式会社「マットレスの寿命について」)
サータベッドのサータ社さま(ドリームベッド株式会社さま販売)
世界3大ベッドブランドのサータベッドのサータ社さまも、10年が一つの目安とされています。使い方、体重、商品の品質によって、耐久年数が異なることを、前提としてらっしゃいます。
環境によって異なるものの、10年が1つの目安となる
マットレスの使い方次第で何年使えるかは変わってきます。例えば、寝返りを打つ回数やその人の体重によっても異なってきます。そのため、どの程度長持ちするかの絶対的な基準はないものの、一般的にはしっかりとした製品であれば10年ほどが1つの区切りといわれています。
(サータ社「マットレスの寿命ってどれぐらい? 交換する目安とは」)
ドリームベッドのドリームベッド株式会社
ドリームベッドのドリームベッド株式会社さまは、使い方を考慮したうえで、8年から10年と伝えてらっしゃいます。
使用する人の体型、使用頻度、定期的にベッドをローテーションしているかどうか、さらにマットレスの仕様など、非常に多くの要素を考慮しますので、一概には言えませんが、3ヵ月に一度マットレスをローテーションしていただければ、平均的には8年から10年を目安にお客様に合ったマットレスの買い替えをお勧めしています。
(ドリームベッド株式会社「ベッドに関するご質問」)
ベッドのコイルマットレスの耐久年数は、製品の種類や品質、使い方によって異なりますが、品質の確かな商品であれば、10年が目安であるといってよいでしょう。
では、実際の取り換えの目安はどう判断すればよいのでしょう。次の項目でお伝えします。
ベッドのコイルマットレスの交換の目安
ここからは、どんな状態になったベッドのコイルマットレスが、交換の時期なのか、をお伝えします。
ベッドのコイルマットレスが次のような状態になったら、交換の目安となります。
- 睡眠中や朝、体に痛みや違和感が気になり始めたとき
- マットレスのへたりが気になったとき
- 8~10年程度、同じマットレスを使用している
- アレルギーの症状が気になり始めたとき
- 振動や揺れが気になり始めたとき
- マットレスのきしむ音が気になり始めたとき
ひとつずつ詳しくお伝えします。
1.睡眠中や朝、体に痛みや違和感が気になり始めたとき
背中や腰の違和感で目覚めてしまう、朝起きたときに背中や腰、肩など体に違和感がある、などの症状が気になった方は、ベッドのマットレスの状態を確認しましょう。
寝ているとき、目覚めたときの体の不調は、必ずしもベッドマットレスが原因とは限りません。ただ、一つの要因ではあります。
もし、
- 数年同じベッドと枕を使っていて、体調や体重も特に変わっていないのに、体の症状が気になりだした
という方は、ベッドのマットレスがへたっていたりすることがあります。マットレスの状態をチェックしてみましょう。
マットレスの状態のチェックチェック方法
- ベッドマットレスの腰がのる辺りを手でなぞってみます。
マットレスの上を手で触ってみて、部分的にへこみがあったら、マットレスがへたっている状態です。マットレスのへたりが、体の傷みや不調の原因であることが考えられます。 - ベッドマットレスの表面を触っただけではわからない場合、手で、マットレスの腰の部分と他の部分に負荷を掛け、沈み具合を確認します。
へこみ具合が、腰の部分だけやわらかい場合は、ベッドのマットレスのへたりが始まっている状態です。マットレスのへたりが、体の傷みや不調の原因であることが考えられます。 - へたっている部分が、広範囲だったり、深さが深かったりする場合は、マットレスの取り換えの目安になります。
へたりのあるマットレスで眠ると、腰の部分が沈みこみ、正しい寝姿勢で眠れなくなってしまうからです。正しい寝姿勢で眠れないと、体に痛みが生じたり、深い睡眠の妨げになってしまいます。体に負担を掛けず、質の良い睡眠をとるために、マットレスの取り換えの検討が必要になります。
2.マットレスのへたりが気になったとき
ベッドに横たわったとき、マットレスの腰や背中のあたりに、へたり、しずみこみがあれば、コイルマットレスの取り替えを検討する時期です。
コイルマットレスのへたりは、
- コイルのバネ(スプリング)の劣化が原因である場合
- コイルの上の重ねられている固わた、ウレタンなどが劣化している場合
- コイルのバネとその上の巻物(固わた、ウレタンなど)両方が劣化している場合
があります。
上記の、1番と3番に該当する場合は、取り替えを検討する時期になるでしょう。
敏感な方は、上記2番に該当する、コイルのバネがへたっていなくても、その上の固わたやウレタンがへたっているだけで、違和感を覚える方もいらっしゃいます。
この状態ですと、ベッドパッドやマットレストッパーを買い替えたり、重ねたりして、寝心地を改善できる場合があります。体の違和感の具合とベッドマットレスの使用年数や、心地よさの追求具合を加味して、取り替えをするかしないかを、判断するとよいでしょう。
3.8~10年程度、同じマットレスを使用している
同じマットレスを、8~10年使用されている方は、取り替えの時期が近いことを把握しておきましょう。
ベッドのコイルマットレスの耐久年数は、マットレスの品質や種類、使う方の体重、寝相、使い方などによって、異なります。同じマットレスを使っていても、寝る方によって、耐久年数は変わってきます。
8~10年、同じマットレスを使っていても、マットレスにへたりがない場合もあります。へたりがなければ、使い続けてもかまいません。
ただ、へたりが気にならないだけ、という場合もあります。マットレスがへたっているのに、体が気付かず、使い続けていると、背骨が曲がった状態で、毎日眠っている、という可能性もあります。
同じマットレスを、8~10年使用されている方は、一度、マットレスの状態をチェックしてみましょう。
チェック方法は、前述と同じです。
- ベッドマットレスの腰がのる辺りを手でなぞってみます。
マットレスの上を手で触ってみて、部分的にへこみがあったら、体の不調はベッドであることが考えられます。
- ベッドマットレスの表面を触っただけではわからない場合、手で、マットレスの腰の部分と他の部分に負荷を掛け、沈み具合を確認します。
へこみ具合が、腰の部分だけやわらかい場合は、ベッドのマットレスのへたりが始まっている状態です。
- へたっている部分が、広範囲だったり、深さが深かったりする場合は、マットレスの取り換えの目安になります。
4.アレルギーの症状が気になり始めたとき
寝具は、手入れが適切にされていないと、ダニやカビ、ハウスダストが生息、もしくは、発生しやすいといわれています。
コイルのベッドマットレスは、湿気がたまりにくく、ダニやカビの心配が低い寝具です。とはいえ、寝汗や、使い方で、マットレスの側生地、コイルの上に重ねられている固わたやウレタンにダニやカビが生息、発生することもあります。
アレルギーの症状が気になった場合、ベッドのマットレスの状態をチェックするようにしましょう。
チェックの方法は、
- ベッドマットレスから、ボックスシーツをはずし、側生地にカビが発生していないかチェックする。
- 寝具用掃除機で、ベッドマットレスの掃除をする。掃除の後でも、アレルギー症状が改善しないかをチェックする
などです。
アレルギーの原因の可能性は、もちろん、マットレスだけでなく、そのほかの寝具の場合もあります。そのほかの寝具の状態もチェックしてみて、もし、マットレスが原因であれば、マットレスの取り換えを検討してみましょう。
5.振動や揺れが気になり始めたとき
同じベッドを使い続けていて、年数が経過して、ベッドの振動や揺れがきになったら、ベッドマットレスの交換を検討しましょう。
年数の経過による、コイルマットレスの振動や揺れは、コイルのバネが劣化し弱くなっていることが考えられます。
コイルのバネが劣化し、弱くなった状態のベッドで眠ると、体の沈み込み、寝姿勢が正しく保たれません。寝姿勢が正しく保てない状態で眠ると、体に負担がかかり、睡眠の妨げになったり、体に違和感を覚えたりします。新しいベッドマットレスに交換し、正しい寝姿勢で、健康的な眠りの確保をすることをおすすめします。
6.マットレスのきしむ音が気になり始めたとき
眠っていて、マットレスのきしむ音が気になり始めたら、交換を検討する時期です。
マットレスのきしむ音は、コイルスプリングの摩耗や劣化のサインです。マットレスが寿命をむかえた、と、考えてもよい状態です。
新しいマットレスに交換することをおすすめします。
交換の前にチェックしたいこと。交換の時期をのばす方法
ここまでは、ベッドのコイルマットレスの寿命と、交換の時期の目安をお伝えしてきました。
交換の目安に該当するコイルマットレスでも、まだ、交換はしないでください。
交換しなくても、使える場合があります。
ここでは、交換をする前に、チェックしたいこと、と、交換の時期をのばし、使い続ける方法をお伝えします。
1.交換をする前に、チェックしたいこと
ベッドのコイルマットレスの交換の目安でお伝えした
- 睡眠中や朝、体に痛みや違和感が気になり始めたとき
- マットレスのへたりが気になったとき
- 8~10年程度、同じマットレスを使用している
- アレルギーの症状が気になり始めたとき
- 振動や揺れが気になり始めたとき
- マットレスのきしむ音が気になり始めたとき
の、1~4に該当する場合は、次の点をチェックしてみてください。
- ベッドのマットレスを回転させたり、裏返したりして使ったことがあるか?
です。
ベッドのマットレスを回転させたり、裏返したりして使ったことがない方
もし、お使いのマットレスを回転させたり、裏返したりして使っていなければ、まず、マットレスを回転して、使ってみてください。
ベッドのマットレスのへたりは、体ののる部分、特に、腰の部分が最初に生じます。体重がかかるからです。
ベッドのマットレスを回転させることで、体がのる位置が変わります。マットレスに寝たときの、体重の一番かかる、腰の位置が変わりますので、へたりが気にならなくなります。
- まずは、ベッドのマットレスを回転させて、上下の位置を変えましょう。
- 次に、ベッドのマットレスに、裏表がなければ、マットレスを裏返して使います。
マットレスを回転するときと同様に、マットレスの上の体がのる位置が変わります。へたっている部分に、体がのりませんので、へた理を気にせずお休みいただけます。
ベッドのマットレスを回転させたり、裏返したりして使ったことがある方
すでに、マットレスを回転させたり、裏返したりして使ったことがある方は、マットレスの寿命が近い方です。その場合は、マットレスの交換を検討する時期です。
とはいえ、どうしても、まだ、使いたい、という場合もあるでしょう。その場合は、次の、交換の時期をのばす方法をお試しになってみてください。
2.交換の時期をのばし、使い続ける方法
ベッドのマットレスが交換の目安に該当しているけれど、まだ、取り替えたくない、という方は、次の方法で、寝心地を改善してみてください。
方法は、
です。
マットレストッパーとは、マットレスの上にのせ、ベッドマットレスの寝心地を改善するために使う寝具です。お使いの寿命が近づいた、ベッドのマットレスの上にのせることで、寝心地の改善が期待できます。
マットレストッパーの詳細は、「マットレストッパーとは? 寝心地をよくするための選び方と使い方」ご参照くださいませ。
ベッドパッドやマットレストッパーでは、寝心地の改善が期待できないマットレスの状態
ベッドのコイルマットレスの交換の目安で、5~6に該当する場合は、マットレスの寿命だと考えられます。ベッドマットレスの振動、揺れ、きしむ音がする場合です。この状態になってしまった、ベッドのコイルマットレスは、ベッドパッドやマットレストッパーでは、寝心地の改善が期待できません。取り替えをすることをおすすめします。
寿命をむかえたマットレスは、体の寝姿勢を正しく保てません。体に負担がかかった状態で眠ることになります。体の寝姿勢が正しく保てないと、
- 日中、体に痛みが生じる
- 睡眠中に体の違和感を覚え、眠りが浅くなる
などの症状につながります。
質の良い睡眠で、元気な日々をすごすために、体の寝姿勢を正しく保つことができる、マットレスを新調しましょう。
以上、ベッドのコイルマットレスの寿命、取り換え時期、取り替えをする前にできることをお伝えしました。マットレスの状態は、睡眠の質に影響します。正しい寝姿勢で眠れるマットレスで、快眠を楽しみ、元気な日々をお過ごしください。
参照リスト
シモンズベッド株式会社「マットレスの寿命はどのくらい?」https://www.simmons.co.jp/company/inquiry (2020年1月11日)
フランスベッド株式会社 2011年11月24日「マットレスの寿命について」
https://www.facebook.com/francebed/posts/309605552402008/ (2020年1月11日)
サータ社 2017年12月18日 「マットレスの寿命ってどれぐらい? 交換する目安とは」
https://www.serta-japan.jp/all/797/ (2020年1月11日)
ドリームベッド株式会社「ベッドに関するご質問」
https://dreambed.jp/faq/ (2020年1月11日)
ご参考になれば幸いでございます。寝具の疑問、ご不明な点は、どうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。今晩も、どうぞぐっすりとお休みいただけますように。
この記事を書いた人
シーツjp店長。上級睡眠健康指導士(認定登録番号 第662号)。
専門分野の、快眠のための寝具の販売、及び、ご相談、ホームファニシング、インテリア販売に、1994年から従事。1923年創業の弊社の店舗にて、対面で23年間、お客さまにぐっすり眠れるための寝具のコンサルティング、ご提案、販売を担当。その経験を活かし、現在は、オンラインにて気持ちよく眠っていただくための、ベッド用寝具の販売、ご提案、ご相談に注力。
前職は、米国の航空会社のマーケティング部アジア統括スーパーバイザー。お客さまが快適で安全な空の旅を楽しんでいただくための仕事に従事。
たずさわるすべての方々とそのご家族が、ぐっすりと気持ち良く眠り、心地良く目覚め、活力いっぱいに、毎日をお幸せにお過ごしいただけるよう、仕事をしています。
ぐっすり気持ちよく眠るための寝具のご相談は、お気軽にお寄せください。