睡眠の質って何? あなたの睡眠の質を知る方法

「睡眠の質って、そもそも何?」と、疑問に思われたことはありませんか? 睡眠の質を高めることが大切、とは、よく言われますが、あまりに言葉が独り歩きしているように感じます。ここでは、睡眠の質とは、と、あなたの睡眠の質を知る方法を、お伝えします。良質な睡眠で、健康であなたらしい人生を謳歌するヒントにしていただければ幸いです。

睡眠の質って何? あなたの睡眠の質を知る方法

睡眠の質って何? あなたの睡眠の質を知る方法

目次

睡眠の質とは?

睡眠の質を良くすると、ヒトの体や脳の健康、成長に良い影響を与えることは、ご存じのとおりです。睡眠の質、という言葉も、頻繁に耳にすることも多いでしょう。

では、そもそも、睡眠の質とは、どういったことなのでしょう?

睡眠の質とは、現在のところ、自分の睡眠状態を、自分で振り返り、自己診断した主観的な評価である、とされています。

睡眠の質を、

  • 「夜中に一度も目覚めなかったから、質の良い睡眠ができた」
  • 「ノンレム睡眠の中で、深い睡眠の、余波睡眠の長さが何分以上だった」

 
など、目覚めた回数や深い睡眠の長さの、絶対的な尺度や定義で、評価することは、しないのが現状です。

もちろん、目覚めの回数や余波睡眠の長さは、睡眠の質を評価する一つとはされますが、絶対的な評価対象と、確定することはないのです。

理由は、

  • 年齢による睡眠パターンの変化があること
  • 性別による睡眠パターンの差があること
  • 睡眠の個人差があること
  • 睡眠は、いまだ解明されていないことが多いこと

 
などがあげられます。

睡眠の質が、主観的に評価される理由

睡眠の質は、睡眠中の脳波などの生理現象を計測できる、睡眠ポリグラフ検査結果の、絶対的な数値を使えばいいのではないか? と、思う方もおられるでしょう。

今後、睡眠研究が進み、睡眠の謎が解明されていくと、睡眠の質を、絶対的な尺度を使って、客観的に評価する時代がくるかもしれません。

ただ、現在では、睡眠は、いまだ解明されていないことが多く、客観的、絶対的な尺度や数値を使って、睡眠の質を測ることはないのです。

睡眠の質を、主観的評価で表す理由として、とても興味深い文章があります。

睡眠の研究者で医学博士の堀忠雄氏の、睡眠の質の評価項目について、述べている文章です。

六五歳以上の高齢者、とくに男性では、余波睡眠がひじょうにわずかになっている。生物学的な熟睡はなかなかむずかしい。しかし、気持ちのいい寝つきと、気持ちのいい目覚めは年齢にかかわりなく、どの人にも体験されることである。やすらかな眠りは、とくに余波睡眠を必項条件にはしない。

(堀 2000: p. 78)

ここでの、余波睡眠とは、ノンレム睡眠の中でも一番深い眠りの状態のことです。

上記は、もし、余波睡眠の長さを、睡眠の質の評価項目にしたならば、生物学的に余波睡眠が少なくなる、高齢者の多くは、質の良い睡眠ができないことになってしまう。しかし、ヒトは、高齢になっても、寝つきの良さや、目覚めの良さを感じるのだから、余波睡眠の長さを、睡眠の質の必項条件にしない、と伝えているのです。

堀氏の文章は、睡眠の質を、主観的評価で表す理由を、とても明確に示してくれています。

睡眠の質は、現状を知り、より良い睡眠の状態にしていくための評価です。年齢や性別に関係なく、睡眠の質を、自分で高められる項目に注視することに、意味があるのでしょう。

睡眠の質を知る目的は、よりよい睡眠で、体と脳の成長や修復し、疲労回復し、健康な人生を送れるようにするためなのですから。

睡眠の質を知る方法 ピッツバーグ睡眠質問票 PSQI

ここからは、睡眠の質の評価で、多く使われている、ピッツバーグ睡眠質問票をご紹介します。

ピッツバーグ睡眠質問票は、過去1カ月の睡眠習慣に関する質問に、自己評価で答え、ご自身の、睡眠の質の評価を伝えてくれます。

質問に答えると、ウェブページで判定結果を示してくれます。

PDFと、ウェブページをご紹介しますので、ぜひ、ご自分の睡眠の質を知るすべとして、お試しになってみてください。

ウェブページ:ピッツバーグ睡眠質問票 

PDF:ピッツバーグ睡眠質問票 日本語版

主観的な睡眠の質と実際の睡眠データの誤差

睡眠のアプリを入れていらっしゃる方も、増えてきているのではないでしょうか。

睡眠のアプリを持ってらっしゃる方は、上の、ピッツバーグ睡眠質問票を、睡眠アプリの結果から答えるのではなく、ご自分の主観で答えてみてください。そして、判定結果を知った後に、ご自身の睡眠アプリのデータと比べてみてください。

おそらく、主観的に答えて得た結果と、実際の睡眠アプリが示すデータでは、誤差があるのではないでしょうか。

この点も、睡眠の謎が解明されていない点かもしれません。

既述の堀氏は、著書「快適睡眠のすすめ」のなかで、主観的な睡眠の質の答えと、実際の睡眠ポリグラフ検査のデータであらわされる数値は、異なる結果になることがあると伝えています。

例えば、高齢の男性と女性の睡眠ポリグラフ検査のデータでは、睡眠中に途中で目覚める回数は、男性の方が多く、余波睡眠の維持時間は、女性のほうが多い結果を示すため、男性の方が、睡眠に問題があるとされます。しかし、主観的な評価を見ると、圧倒的に、女性の方が、不眠を感じているというのです。

このデータと主観的評価結果の誤差は、男女差のみではなく、自分を不眠型と感じているか、安眠型と感じているかの違いでも、見てとれると、堀氏は著書で伝えています。

睡眠に関する、謎の面白い点であり、睡眠の質を高めることは、いつでも可能性があるという、希望を感じる点でもあるのではないでしょうか。

睡眠の質を高めるとは

最後に、睡眠の質を高めるとは、どういうことかを、お伝えします。

ここでも、まず、堀氏の文章を引用することにします。

睡眠の質を問題にすると、寝つきが良く、途中で目が覚めることなく熟睡するタイプの安眠型(グッド・スリーパー)、その反対に、寝つきが悪く、熟睡感のないタイプの不眠型(プア・スリーパー)に分けられる。

中略

不眠型は、(1)寝つくまでにいつも三〇分以上かかり、(2)毎晩一回以上の中途覚醒があり、(3)実際の入眠時間の長さとは関係なく、寝つきが悪い(入眠困難)と思っている、タイプと定義されている。

安眠型は、(1)寝つくのに必要な時間は一〇分以下、(2)一度眠ったら熟睡中に目が覚めることはない、(3)寝つきが悪いと困ったことがない、タイプと定義されている。

(堀 2000: p. 78)

としています。

上記の、不眠型から、安眠型になるように、工夫すると、睡眠の質を高めることができるというわけです。

睡眠の質を高めるには、

  • 寝入りや寝つきをよくし、
  • 途中で目覚めず、熟睡できる

睡眠環境を整える、ということになるでしょう。

睡眠の質を高める、睡眠環境については、下記で詳しくお伝えしています。どうぞご覧くださいませ。

 
 
以上、
睡眠の質とは、についてお伝えしました。睡眠の質を知って、質を高めるヒントにしていただければ幸いです。

文献
堀忠雄、(2000)『快適睡眠のすすめ』岩波新書.

Doi Y, Minowa M, Uchiyama M, Okawa M, Kim K, Shibui K, Kamei Y. Psychometric
assessment of subjective sleep quality using the Japanese version of the Pittsburgh Sleep
Quality Index (PSQI-J) in psychiatric disordered and control subjects. Psychiatry Res 2000; 97
(2-3):165-172.

土井由利子, 簑輪眞澄, 大川匡子, 内山真: ピッツバーグ睡眠質問票日本語版の作成.
精神科治療学 1998; 13 (6); 755-769.
(*英語による引用:Doi Y, Minowa M, Okawa M, Uchiyama M. Development of the Japanese
version of the Pittsburgh Sleep Quality Index. Japanese Journal of Psychiatry Treatment 1998;
13 (6): 755–763 (in Japanese).)


ご参考になれば幸いでございます。寝具の疑問、ご不明な点は、どうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。今晩も、どうぞぐっすりとお休みいただけますように。

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