「スレッドカウントって、なんですか?」「ボックスシーツの品質に関係がありますか?」と、お客さまからお問い合わせを頂戴します。ここでは、スレッドカウントの意味と、スレッドカウントの高さと品質の関連性、そして防ダニ効果との関係性、をお伝えします。
目次
スレッドカウントとは
スレッドカウントとは、生地の織り目の密度を示す用語で、1インチ=2.54cm 四方の布を織り上げるために使われた、横糸と縦糸を合計した糸の本数で表されます。織密度、打ち込み本数などとも呼ばれます。
スレッドカウントの数値が高いと、布を織りあげるために、糸が多く使われ、織る密度が高くなり、一般的には、滑らかさのある生地になります。
スレッドカウントの数値が低いと、使われる糸の本数が少なくなり、ざっくりとした肌触りの生地なります。
上記で、あえて、
- ”一般的には、滑らかさのある生地”
とお伝えしました。
理由は、生地の肌触りや手触りは、スレッドカウントの数値だけで、決まるのではないからです。
生地の肌触りは、
- 生地に使われる糸の品質
- 糸の太さ
- 織り方
- 織密度
- そして、上記の組み合わせ
によって、決まります。
生地の品質も、同様です。ここからは、スレッドカウントと生地の品質の関係性をお伝えします。
スレッドカウントが高さと、生地の品質の関連性
「スレッドカウントが高いと、良い生地ですか?」スレッドカウントの高さと、生地の品質は、必ずしも比例はしません。理由は、次のふたつの点にあります。
- シーツやカバーの生地の品質を決定する要素は、スレッドカウントだけではないこと
- スレッドカウントの糸の本数にからくりがあること
それぞれ、順番に詳しくお伝えしていきます。
1.シーツやカバーの生地の品質を決定する要素は、スレッドカウントだけではない
シーツやカバーの品質は、スレッドカウントだけではわかりません。シーツやカバーの生地の品質は、
- 糸の品質
- 糸の太さ
- 織り方
- スレッドカウント
の組み合わせで決まります。
例えば、同じスレッドカウントでも、高品質な繊維、インド超長綿やスーピマコットンの糸で織られた生地と、一般的な綿の糸で織られた生地では、肌触りも、生地の強さも、生地の見た目の美しさも異なります。
スレッドカウントは、あくまでも、生地の構造の数値です。生地の品質は、構造の数値だけでなく、使われる生地の素材と、その品質に左右されます。
では、品質の高い生地は、どのような生地のことなのでしょう?
一般的には、超長綿などの高品質素材の、細い糸を使い、綿サテン織で仕上げ、織密度が高いと、肌触りが滑らかで、生地の耐久性に優れ、上品な色や光沢の、上質な生地となるといってよいでしょう。
高級素材や、上質のシーツやカバーをお探しの方は、スレッドカウントのみで選ぶのではなく、生地の素材、糸の太さ、織り方を確認し、品質の高さを約束する商品を選ぶようにしましょう。
ボックスシーツの生地の選び方
2・スレッドカウントの糸の本数のからくり
生地の品質と、スレッドカウントの数値が必ずしも比例しない、もう一つの理由が、スレッドカウントに表される、糸の本数のからくりです。
スレッドカウントは、1インチ = 2.54cm四方の布を織っている、縦糸と横糸の本数の合計です。例えば、縦糸170本、横糸110本が、1インチ = 2.54cm四方に使われている糸の本数だとすると、スレッドカウントは、280本になります。
ただ、スレッドカウントの数値には、からくりがあることがあります。
生地に使われる糸は、糸の強さや糸の太さの均一性のために、2本の糸を撚り合わせて、1本としている糸があります。純粋な1本の糸は、単糸、2本の糸が撚り合わされていると、双糸と呼ばれています。撚られる糸の本数は、3~4本の糸が撚られる場合もあります。
スレッドカウントのからくりとは、生地に使われる糸が、単糸なのか、双糸なのか、または、3~4本が撚られた糸なのか、によって、スレッドカウントの数値が大きく変わることにあります。
スレッドカウントを表示する際、双糸が使われると、数値が2倍に表示されるのです。例えば、先程と同じ例で、1インチ = 2.54cm四方の布に使われている糸の本数が、縦糸170本、横糸110本だとします。糸が、双糸だった場合、スレッドカウントは、280ではなく、倍の560となるのです。
さらに、4本で撚られた糸が使われると、4倍で、スレッドカウントが1120となります。
次の2つの生地では、どちらが高い品質になるでしょう?
A.品質の高い、繊維が細く長く強さのある、超長綿の単糸で織った、縦170本、横110本、スレッドカウント280の生地
と、
B.品質の低い、弱い糸が4本撚られた糸で織られた、縦170本、横110本、スレッドカウント1120の生地
明らかに、Aのスレッドカウント280の生地のほうが、滑らかで、丈夫で、上質な生地になります。Bの生地は、スレッドカウントが1120であるにもかかわらずです。
このようなからくりも、スレッドカウントの数値が、必ずしも、シーツの生地の品質と比例しない理由の一つなのです。
海外では、このからくりを利用して、シーツやカバーのスレッドカウントを、高く表示させている商品があるのも現状です。海外のショップから、通販でお求めされている方は、ご留意するとよいでしょう。
スレッドカウントが高いと、防ダニ効果がありますか?
スレッドカウントが高いと、防ダニ効果がありますか? と、お客さまからのお問い合わせを頂戴します。生地の組成、スレッドカウントの高さ、数値だけで、防ダニ効果があるかを判断することはできません、とお伝えしています。
防ダニ用の、超極細繊維を超高密度で織られた特殊生地ですと、その組成により、200-300ミクロンのダニの侵入を防ぐ効果がある商品はございます。
それ以外の生地で、スレッドカウントが高ければ、ダニを通さないかというと、その効果は、判断できないということになります。
理由は、スレッドカウントの数値は、あくまでも、1インチ2.54cm四方の織生地に使われている糸の数を表しています。生地の編み目の空間の数値が、表されているわけではないからです。
同じスレッドカウントでも、生地の編み目の空間がバラバラな生地の場合もありますし、編み目の空間がきれににそろった生地である場合もあります。
また、スレッドカウントの数値のからくり、でお伝えした通り、糸が、単糸、双糸、3~4本を撚った糸で生地が織られている場合、スレッドカウントが高くても、織り地の空間が必ずしも、密になっているかは、判断できません。
薬品を使わず、生地の組成による、防ダニ効果のあるシーツや、カバーをお探しの際は、防ダニ効果があると表記され、超極細繊維を超緻密に織られているシーツやカバーをおすすめいたします。
具体的な商品名では、ミクロガード商品や昭和西川のSNフレッシュプロのシーツや掛けふとんカバーです。ミクロガードや、SNフレッシュプロは、目に見えない200-300ミクロン程度のダニも通さないほど超密度の組成のシーツや掛け布団カバーで、アレルギーの方も安心してお使いになっていただけます。
以上、シーツやカバーの生地のスレッドカウントについて、お伝えしました。
インターネット通販やカタログ通販では、商品説明や仕様で品質を見極めることになります。スレッドカウントは、品質の判断材料の一つではありますが、必ずしも、その数値だけで、品質の良し悪しを決定することはできません。
ボックスシーツや掛け布団カバーをお選びになる際は、素材の品質、糸の太さ、生地の織り方を確認し、お好みにあう商品を選ぶことが大切です。好みの肌触りのシーツやカバーで、ほっと安らぐひと時をご堪能ください。
ご参考になれば幸いでございます。寝具の疑問、ご不明な点は、どうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。今晩も、どうぞぐっすりとお休みいただけますように。
この記事を書いた人
シーツjp店長。上級睡眠健康指導士(認定登録番号 第662号)。
専門分野の、快眠のための寝具の販売、及び、ご相談、ホームファニシング、インテリア販売に、1994年から従事。1923年創業の弊社の店舗にて、対面で23年間、お客さまにぐっすり眠れるための寝具のコンサルティング、ご提案、販売を担当。その経験を活かし、現在は、オンラインにて気持ちよく眠っていただくための、ベッド用寝具の販売、ご提案、ご相談に注力。
前職は、米国の航空会社のマーケティング部アジア統括スーパーバイザー。お客さまが快適で安全な空の旅を楽しんでいただくための仕事に従事。
たずさわるすべての方々とそのご家族が、ぐっすりと気持ち良く眠り、心地良く目覚め、活力いっぱいに、毎日をお幸せにお過ごしいただけるよう、仕事をしています。
ぐっすり気持ちよく眠るための寝具のご相談は、お気軽にお寄せください。