Monthly Archives: 11月 2018

羽毛布団を掛けて寒い時の、状況別の対処法

羽毛布団を掛けて、寒い時の状況別の対処法

羽毛布団を掛けて、寒い時の状況別の対処法

「羽毛布団を掛けているのに、なんだか寒い」「去年まで快適に使えていたのに、今年は羽毛布団が暖かくない気がする」といったお声を頂戴します。暖かいはずの羽毛布団を掛けて、寒いってなんで? どうしたらよいの? と疑問に思ってらっしゃるようです。ここでは、羽毛布団を掛けて、寒い時の対処法を、状況別にお伝えします。

目次

新品の羽毛布団が寒い理由と対処法

保温性が足りない理由(新品の羽毛布団の場合)

新品の羽毛布団で、保温性が足りない場合。まず、次の点を、お伝えさせてください。

羽毛布団の保温性は、商品の品質やグレードに比例するという点です。羽毛布団の品質やグレードが高くなれば、保温性が高く、軽くて暖かな掛け心地になるということになります。きちんとしたメーカーの商品であれば、品質とグレードは、価格に反映されます。

そこで、新品の羽毛布団の保温性が足りない理由です。

もし、お求めになったばかりの羽毛布団を掛けて、寒い場合、その商品の品質が、期待した保温性に満たなかったということがあります。新品の羽毛布団を掛けた時に寒い場合、この点が主な理由である場合が多々です。

寒いときの対処法

では、どうすればよいか、の対処法です。

羽毛布団は、本来、1枚で暖かさを感じながら使いたいのですが、寒い場合は、ほかの寝具を併用することで、保温性の足りなさを補います。

寒いと感じる状況は、主に、3つあります。

3つの状況別に、対処法を、お伝えします。

羽毛布団をかけて寒いと感じる状況

  1. 首のあたりや、肩口だけ寒い場合
  2. 掛け布団が、体にフィットしないで、軽すぎるように感じて寒い場合
  3. ふんわり暖かさはあるけど、なんだか寒い場合

ここから、3つの状況別に、対処法をお伝えしていきます。

1.首のあたりや、肩口だけ寒い場合の対処法

首や肩のあたりから、冷たい空気が入って、寒く感じる場合があります。

これは、羽毛布団のフィット性(羽毛布団が、体の曲線に沿うように膨らみ、保温性を高める性能)が足りない場合に、起きてしまいます。

首元、肩口の寒さの対策は、

です。

膝掛けサイズの軽くて洗えるタイプの毛布の使い方

膝掛けサイズの洗えて軽い毛布

膝掛けサイズの洗えて軽い毛布

膝掛けサイズの軽くて洗えるタイプの毛布とは、クオーターケットとも呼ばれ、普通の毛布の四分の一程度のサイズの小さい毛布のことです。

素材は、フリース素材、ヒートコットン素材、ニューマイヤー素材、綿毛布素材など、洗えて、暖かなタイプの素材がおすすめです。

膝掛け程度の、小さめサイズの洗える毛布を、肩口のあたりに掛けて使います。羽毛布団と体の隙間から入る、冷たい空気を感じることなく、暖かくお休みいただけます。

肩当ての使い方

肩当てで、肩口野寒さを解消

肩当てで、肩口野寒さを解消

肩当ては、羽毛素材、毛布素材が販売されています。膝掛けタイプの毛布より、さらに小さく、肩だけ暖めてくれます。がさばるのが嫌いの方に向いています。体形によっては、きつく感じることがあります。サイズを確認してから、求めるようにしましょう。

2.羽毛布団が、体にフィットしないで、軽すぎるように感じて寒い場合の対処法

羽毛布団の品質によっては、布団と体に隙間ができてしまい、フィット感がなく、寒く感じることがあります。

この場合、中の羽毛の品質や、羽毛布団のキルティングの方法、側生地の品質、中の羽毛の量が少ない、などが原因として挙げられます。

対処法は、

  1. 毛布を併用する
  2. ダウンケットを併用する

ことになります。

羽毛布団と毛布を併用する使い方

通常、羽毛布団と毛布を併用する場合は、

  • アクリルなど、化繊素材の毛布は、羽毛布団の上から掛ける
  • ウール、綿、シルクなどの天然素材の毛布は、羽毛布団の内側に掛ける

ように使います。

ただ、羽毛布団の保温性が、まったく感じられない場合は、羽毛布団の保温機能 が、発揮されていないことになります。その場合、本来の使い方とは異なりますが、羽毛布団にこだわるより、暖かく眠る、という目的を重視します。お好みで暖かく眠れる毛布を、体に直接かけて、その上に、掛け布団を掛けて使いましょう。暖かく、心地よく眠ることが、何より大切です。

羽毛布団とダウンケットを併用する使い方

春夏用に、ダウンケットをお持ちの方は、ダウンケットを併用するのも良い方法です。羽毛布団とダウンケットを、一つの掛け布団カバーの中に一緒に入れて使います。

掛けふとんカバーに入れる時は、羽毛布団が下、その上に、ダウンケットを重ねて入れます。羽毛布団の品質にもよりますが、ダウンケットより羽毛布団のほうが、保温性は高くなります。保温性の高い、羽毛布団を直接かけ、保温性の足りなさを、ダウンケットで補う形です。

羽毛布団とダウンケットを一緒に、ずれ防止紐で結束する

羽毛布団とダウンケットを一緒に、ずれ防止紐で結束する

羽毛布団とダウンケットを2枚重ねる場合も、布団がカバーの中でずれないように、2枚一緒に、ずれ防止の紐で、カバーと布団を結束するようにしましょう。

3.ふんわり暖かさはあるけど、なんだか寒い場合の対処法

季節の始めに羽毛布団を掛けた時は、暖かさが十分であっても、気温が下がると、保温性が足りない、という場合もあるでしょう。

この場合、羽毛布団の品質ではなく、掛けふとんカバーの綿のヒヤッとした、冷たさが原因だったり、寒さの感じ方が原因だったりする場合もあります。

対処法は、

  1. ふんわりタオルケット、綿毛布を使う
  2. ガーゼ素材の掛け布団カバーや、ガーゼケットを使う
  3. あったか素材の掛け布団カバーを使う
  4. 毛布を併用する

があります。

1.ふんわりタオルケット、綿毛布を使う

ある程度の保温性はあるのだけど、もう少し暖かくして眠りたい、という場合、羽毛布団の内側に、ふんわりタオルケットや綿毛布をお使いになることをおすすめします。

ふんわりタオルケットは、タオルの起毛部分に、軽くて柔らかな素材や、無撚糸が使われています。冷たい掛け布団カバーの生地が、直接体に触れないので、保温性の低さをやわらげてくれます。

綿毛布も同様の役割をします。綿毛布の方が、ふんわりタオルケットより、保温性が高くなります。お好みで、どちらかをお選びなるとよいでしょう。

2.ガーゼ素材の掛け布団カバーを使う

羽毛布団を掛けた時の、ひんやり感が、掛けふとんカバーの生地の冷たさが原因である場合、掛けふとんカバーを、ガーゼや綿ローン素材にしてみることもおすすめです。

ふんわり暖かな、綿ローンガーゼ掛けふとんカバー

ふんわり暖かな、綿ローンガーゼ掛けふとんカバー

綿ローンやガーゼの掛け布団カバーは、空気を含む生地のため、一般的な綿のカバーのような冷たさがありません。とても軽い素材なので、羽毛のふくらみを妨げず、保温性がしっかり伝わり、羽毛布団に最適な素材のカバーの一つです。

今、お使いの掛け布団カバーが、気に入っている場合、綿ローンやガーゼの掛け布団カバーを、アッパーシーツ、トップシーツ代わりにお使いいただくのもよいでしょう。

アッパーシーツ、トップシーツとは、ホテルのベッドメイキングであるように、1枚のフラットシーツを、掛け布団や毛布の内側にさらっと掛けて使うシーツのことです。

綿ローンやガーゼの掛け布団カバーに、掛け布団を入れずに、掛け布団と体の間に入れて、使うのです。ガーゼケットのような、ふんわりやさしい暖かさで、ガーゼケットより軽く、気持ちが安らぐ掛け心地です。

羽毛布団の保温性が、少し足りない方は、この方法はとてもおすすめです。

3.あったか素材の掛け布団カバーを使う

羽毛布団の保温性を、もう少し補いたい場合は、あったか素材の掛け布団カバーをお使いになることも良い方法です。あったか素材の掛け布団カバーは、最近は、毛布のいらない掛け布団カバーとして、販売されて、人気も上がっている商品です。

フリース、マイクロファイバー、フランネル、パイルなどの素材で、毛布のような掛けふとんカバーです。綿の掛け布団カバーの冷たさがありません。毛布の役割もします。かわいくて、冬らしい柄物もありますので、見た目も暖かさを楽しめます。

羽毛布団の保温性を、少し上げたい方におすすめです。

4.毛布を併用する

保温性が、少し足りない羽毛布団には、毛布をお使いいただくのもよいでしょう。軽い、化学繊維素材の毛布を、羽毛布団の上から、ふわっと掛けるのが良いでしょう。

羽毛布団の中の、暖かな空気が逃げないように、化繊素材の軽い毛布で、ふたをするイメージです。羽毛布団だけだと、少し寒いという方に、おすすめの方法です。

今まで使っていた羽毛布団が寒い理由と対処法

保温性が足りない理由

昨シーズンまでは、暖かく使えていた羽毛布団が、今シーズンになったら、暖かくなくなってしまった、ということもあります。

今まで使っていた羽毛布団を掛けて、寒い理由は、

  1. 羽毛布団を収納していた時に、湿気を含んでしまった
  2. 羽毛布団が寿命になった

などがあげられます。

寒いときの対処法

それぞれの対処法をお伝えします。

1.羽毛布団を収納していた時に、湿気を含んでしまった場合

春夏に収納していた羽毛布団は、布団の中に、湿気がこもってしまう場合があります。湿気がこもったままの羽毛布団を掛けると、保温性が、感じられません。

理由は、中の羽毛に水分が付着して重くなり、羽毛の毛羽が開かず、暖かな空気を含むことができなくなってしまうためです。

対処法は、

  • 収納してあった羽毛布団を使う前に、陰干しをして、湿気を発散させること

です。

方法は、

  1. 羽毛布団を収納バッグから出したら、部屋の中に、羽毛布団を広げます。
  2. 布団掛けや、部屋干し用の、大き目の洗濯物干しスタンドがあれば、そこに、羽毛布団を掛けて、陰干しをします。
  3. 半日から、一日程度干します。サーキュレーターや扇風機があれば、羽毛布団に当てると、早く、すっきりと湿気が抜けますのでおすすめです。
  4. そのあと、清潔な掛けふとんカバーを掛けて使います。

羽毛布団の中にこもった、湿気が発散され、ふんわりと軽く、暖かな羽毛布団を、再び、お使いいただけるようになります。

羽毛布団の収納ケースから、出して、そのまま使ってしまった場合も、保温性が足りなければ、半日から一日程度、上の方法で陰干しをしましょう。湿気が原因で、保温性がなくなってしまった羽毛布団でしたら、暖かさが復活します。

2.羽毛布団が寿命になった場合

1の方法で、陰干しをしても、羽毛布団の保温性が、復活しないこともあります。その場合は、羽毛布団が寿命になってしまった、と考えます。

羽毛布団は、半永久的に使えそうなイメージを持たれる方がいらっしゃいますが、羽毛布団には寿命があります。

羽毛布団の寿命年数は、羽毛布団の品質やグレードによって異なります。標準的な羽毛布団ですと、数年から10年程度になります。

寿命となった羽毛布団は、羽毛布団のリフォームというお手入れをしてから使う、もしくは、買い換えとなります。

羽毛布団のリフォームには、1ヶ月程度かかります。寒い季節になって、羽毛布団の寿命に気がついた場合、リフォームに出してしまうと、その間、羽毛布団が使えません。1ヶ月程度、我慢できればよいですが、そうでない場合は、新しい羽毛布団を購入するか、この記事の前半でお伝えしたように、羽毛布団の保温性をほかの寝具で補って、使うようにします。

寿命となった羽毛布団は、羽毛布団を使う時期が過ぎてから、じっくりと、羽毛布団のリフォームをすると、焦ることなく次のシーズンに備えられます。

羽毛布団の保温性の低さに対処するお役立ちアイテム

この記事でご紹介した、羽毛布団が寒いときの対処として役立てていただけるアイテムは、下記です。寒さ対策にお役立てください。

肩口が寒い時にお役立ていただけるアイテム

掛布団カバーが冷たくて寒く感じる時にお役立ていただけるアイテム

ふんわりガーゼ綿ローン掛布団カバー

ふんわりガーゼ綿ローン掛布団カバー

以上、
羽毛布団が寒く感じる時の、理由と対処法をお伝えしました。

羽毛布団の保温性は、新品の商品の場合は、羽毛布団の品質やグレードに、使用年数のたった羽毛布団は、湿気、汚れ、羽毛の寿命などに比例します。どうぞ、最初の、羽毛布団選びを慎重にし、適切なお手入れで、長く快適にお使いくださいませ。寒い夜も、暖かく、快適にお休みいただけます。

冬に眠りやすくするための、暖房エアコンと寝具の使い方

冬に眠りに入りやすくするための、エアコンと寝具の使い方

冬に眠りに入りやすくするための、エアコンと寝具の使い方

冬の寝室、エアコンをお使いになりますか? 寝室では、エアコンや暖房器具を使わない、という方もいらっしゃるかもしれません。実は、エアコンの使い方を工夫すると、寒い季節も、心地よく眠れます。ここでは、冬に、眠りやすくするための、暖房エアコンと寝具の使い方をお伝えします。

目次

寝室の室温は、入眠のしやすさに影響する?

「寝室の温度って、眠りやすさに影響するのかしら?」

結論からお伝えすると、寝室の室温は、眠りやすさに、影響があります。

理由は、二つあります。ここでは、その理由を、次の順で、お伝えしていきます。

  1. 室温が眠りに影響する理由
  2. 室温が眠りの入りやすさに影響する理由

寝室の室温が、眠りに影響する理由がわかれば、暖房エアコンの使い方の工夫も、しやすくなっていただけるでしょう。

1.室温が、眠りに影響する理由

日本生気象学会雑誌、2014年50巻4号に発表された、都築和代氏の論文、「温熱環境と睡眠」で、冬の睡眠環境について次のように伝えています。

作用温度が 13℃~25℃の範囲でパジャマを着用し綿シーツ2枚とウール毛布1枚の寝具を使用した場合について、睡眠深度を比較し、作用温度 13℃ではレム睡眠が短縮し、覚醒が増加したが、16℃では覚醒の回数も時間も減少した(中略)好まれる作用温度は 19℃であり、この温度から離れるほど不快になると報告した。

上記の、作用温度とは、寝室の室内の温度のことを示します。

要約すると、

  • 冬の寝室で、室温を変化させた実験をしたところ、19℃にすると、睡眠の状態が一番よかった

ということです。つまり、室温は、眠りの質に影響することがわかります。

それでも、

「毛布やあったか敷きパッドで、布団の中を暖かくしたり、暖かなパジャマを着たりすれば、ぐっすり眠れるのではないかしら?」

という疑問が生じます。

前出の論文が、この疑問を解消してくれています。

布団から出ている前額の皮膚温は気温に比例して低下し、布団内の足皮膚温も室温が低いほど上昇に時間を要し、直腸温や大腿皮膚温の低下に優位さが認められた。これは、布団からでていた顔面皮膚で、冷やされたり、冷気の吸入により肺で冷やされた血流が循環し、影響した可能性を示唆しており、寝具を使っているとはいえ断熱性が十分ではなかった可能性がある

としているのです。

要約すると、

  • 布団の中を暖めたり、暖かなパジャマを重ね着したりしても、寝室の室温が低いと、布団から出ている、顔が冷え、部屋の冷たい空気を吸い込むことによって、体の中が冷えて、眠りに影響を与える

ということを伝えています。寝具で、お布団の中を暖かくする工夫をしていても、寝室の室温が低すぎると、眠りに影響を与えるということなのです。

2.室温が眠りの入りやすさに影響する理由

ここで、さらに注目したいのは、”布団内の足皮膚温も室温が低いほど上昇に時間を要し、直腸温や大腿皮膚温の低下に優位さが認められた” という点です。

室温が低いと、布団の中の、足の温度が高くなるのに、時間がかかったと伝えているのです。

私たちは、足や手の温度が高くなることで、眠りに入りやすくなります。室温が低いと、足の暖まりが遅くなる、つまり、眠りに入るのに、時間がかかってしまう、ということになるのです。

このことから、どんなに、布団の中を暖かくしても、室温が低すぎると、顔や吸い込む空気の冷たさで、足の温度が上がらず、眠りにくくなるということになるのです。

眠りやすくするための、冬の寝室の室温

では、眠りに就くときの、冬の寝室は、何度に設定すればよいのでしょう。先程の論文によると、19℃で、1番眠りの質が上がったとしています。

  • 冬の寝室の室温設定は、19℃がベスト

ということになるでしょう。

眠りに入りやすくするための、エアコンと寝具の使い方

寒い夜に、眠りにつきやすくするための、エアコンと寝具の使い方です。

1.エアコンの設定

寝ている間に、暖房器具やエアコンをつけたままにしておくと、どうしても部屋が乾燥します。

  • 寝室に入って、眠りに就く時間に、室温が、19℃前後になっているように、暖房器具を設定しましょう。

お使いのエアコンや、寝室の暖まり方によって、19℃前後に部屋が暖まる時間は、異なるでしょう。何度か試して、部屋が、暖まるのに、かかる時間を見越して、寝室のエアコンのスイッチを入れておきましょう。

眠りに就くときに、丁度よい室温になり、入眠がしやすくなります。

お休みになるときは、エアコンは、切ってしまうか、30分程度のタイマー設定で、切るようにしましょう。

室温が分かる温度計があると便利です

室温が分かる温度計があると便利です

枕もとに、室温と湿度が分かるように、温湿度計や、温湿度計の付いた時計を一つ用意しておくと、目安になります。

2.寝具の準備

眠りに入りやすくするには、室温のほか、お布団の中を温めておくのが、得策です。手と足を温めると、眠りにつきやすくなるからです。

お布団に入ったときに、体が縮こまることなく、ゆったりと力が抜ける程度の温度が最適です。具体的には、お布団の中の温度は、30±1℃が、快眠できる温度ですが、ご家庭で、布団の中の温度を測るのは、面倒です。体の感覚を目安にするのがよいでしょう。

  • お布団の中に入ったら、電気毛布のスイッチは、切って眠りましょう。

お布団の中が温まりすぎると、深い眠りの妨げになったり、汗をかいて、風邪の原因になったりします。

寒い夜は、エアコンも、寝具も、眠る前の準備で、ずっと眠りに入りやすくなります。

簡単な工夫です。どうぞおためしください。

ぐっすり眠るための、就寝中の照明の選び方

ぐっすり眠るための、就寝中の明かりの選び方

ぐっすり眠るための、就寝中の明かりの選び方

「真っ暗にしないと眠れない」、「小さい電気をつけていないと眠れない」、など、就寝時の明かりの好みは、さまざまです。睡眠の質を高めたい方にとっては、より、深く眠れる照明を選びたいところです。ここでは、就寝中の睡眠の質を高める明かりの選び方をお伝えします。

目次

就寝中の明るさは、睡眠の質に影響する?

真っ暗にした寝室と、小さな明かりをつけた寝室、どちらが、ぐっすり眠れると思いますか?

真っ暗にした方が、深く眠れるような気がしますが、実際のところは、やわらかな小さな照明をつけたほうが、睡眠の質が高まることがわかっています。

良質な睡眠のための寝室環境の研究をされている北堂真子氏は、論文の中で

睡眠中における光の影響については、睡眠中にも瞼を通してはいる光に対する反応が生じることが確認されている。睡眠の深さに及ぼす就寝中の環境照度の影響を調べた報告では、終夜の平均睡眠深度が0.3lx で最高となり 30lx 以上では顕著に浅化する傾向が示されている。また、暗闇(0.1lx)では 0.3lx に対して顕著な浅化が認められ、50lx以上では腕や布団で顔をおおうなどの遮光動作が観察されている。睡眠中は、 0.3 ~ 1lx が推奨照度と考えられている。

(北堂,2005)
とあります。

要約すると、

  • 眠っている間も、ヒトは光を感じ、明るさが睡眠に影響を与える
  • 真っ暗な空間より、少し明かりを感じるぐらいが、いちばん深い睡眠を得られる

と教えてくれています。

睡眠の質を高めて、ぐっすり眠り、翌朝すっきりと目覚めたい方は、少し、明かりをつけたまま、眠ってみましょう。

真っ暗にしないと眠れない、という方も多いと思います。就寝中の明かりの好みは、場合によっては、それが習慣となっていて、癖の一つになっているだけかもしれません。健康的な睡眠をとりたい方は、一度、試しに、小さな明かりをつけてお休みになってみるとよいでしょう。そのほうが、ぐっすりと眠れることを実感できるかもしれません。

睡眠の質を高める、就寝中の明かりの選び方

小さな明かり、” 0.3 ~ 1lx が推奨照度”といっても、どのぐらいの明るさか、はっきりしませんよね。0.3lx(ルクス)は、室内の中がうっすら見える程度の明るさですが、実際には、どんな照明器具を使ったらよいでしょう。

睡眠の質を高めるための、就寝中の照明は、次のようなタイプを選ぶのがおすすめです。

明暗センサー付きの足元ライト

  • コンセントに差し込んで使うタイプ
  • 暖色、電球色タイプ
明暗センサー付き足元ライトが、就寝中の明かりにおすすめ

明暗センサー付き足元ライトが、就寝中の明かりにおすすめ

暖色の、明暗センサー付き足元ライトが、就寝中の明かりにおすすめ

暖色の、明暗センサー付き足元ライトが、就寝中の明かりにおすすめ

足元ライトを選ぶ理由は、目元から、明かりを離すことで、ライトの明るさを、極力少なくすることができるからです。

コンセントタイプを選ぶのは、場所を取らず、足元の邪魔にならないことです。

暖色や電球色タイプを選ぶのは、”赤みを帯びた光ほど気分を落ち着かせる作用があると言われている” からです。(北堂,2005)

明暗センサー付きを選ぶ理由は、就寝前までは、枕もとの卓上ライトを点灯させて、お休みになるときは、卓上ライトを手元で消し、消したと同時に、足元ライトが点灯するからです。

お休みの直前までは、読書などの時間を楽しみ、その後は、理想の明かりでぐっすり眠る、ということを可能にします。

明暗センサー付きのコンセントタイプの足元ライトは、1個あたり、数百円程度で購入できますので、手ごろな価格で手に入れやすい、快眠グッズの一つです。

途中で目覚めた後も、すぐに眠れるようにするためには

トイレなど、途中で目覚めた後でも、眠りにすぐに戻りやすくするためには、明かりの使い方が重要になります。

途中で目覚めてしまった時の、光の強さが、再入眠のしやすさに影響があるというのです。

前出の北堂真子氏は、

点灯時の自立系への影響は再度の消灯後にも持続することが報告されている

(北堂,2005)
としています。

つまり、トイレなどで、目覚める際、浴びる明かりを最小限に抑えたほうが、眠りに戻りやすい、と伝えてくれています。

トイレの照明は、ある程度の明かり、(JIS基準では、300ルクスを推奨)が必要ですので、あまりいじることはできません。ただ、寝室とトイレの間の、廊下の照明の明るさを最小限にすることで、再入眠しやすいように工夫ができます。

うっすらとした明かりでも、足元が危なくないようにするには、廊下も、明暗センサー付きのコンセントタイプの足元ランプが役立ちます。

顔や目で浴びる明かりを最小限にしながら、足元ライトの明かりがあれば、安全に歩けます。

高齢になると、就寝中に、何度も目が覚めたり、トイレに起きたりという状況が増えてきます。そのような状況下でも、なるべく、すぐに、眠りに戻れるように、明かりを工夫しましょう。

以上、睡眠の質を高めるための就寝中の明かりの選び方をお伝えしました。

真っ暗よりも、やさしく暖かみのある、足元ランプを活用し、ぐっすりと眠れる工夫で、手軽に簡単に、睡眠の質を高めてみましょう。

 
 
 

脚注

文献

北堂真子,良質な睡眠のための環境づくり -就寝前のリラクゼーションと光の活用-,バイオメカニズム学会誌,Vol29, No.4,2005.

ハウスダスト。寝具のお手入れと寝具選びで対策

花粉症ではないはずなのに、鼻がむずむず、何のアレルギーかしら? と思うこと、ありませんか? ハウスダストが原因かもしれません。ハウスダストを軽減させれば、アレルギーの要因も減らせます。寝具は、ハウスダストが多く発生するといわれています。ここでは、寝具のお手入れと選び方でできる、ハウスダスト対策をお伝えします。

目次

ハウスダスト。寝具のお手入れと寝具選びで対策

ハウスダスト。寝具のお手入れと寝具選びで対策

ハウスダストとは

ハウスダストという言葉、よく耳にしますよね。明確な意味、ご存じですか?

「ウィキベディア」では、ハウスダストを次のように定義しています。

ハウスダスト(英語:house dust)とは、室内塵のことで、アレルギーを引き起こすいくつかのアレルゲンが混合したもの。ペットなどの動物やヒトの皮屑(フケ)、カビ、ダニ、および細菌などが混ざったもの。 広義であれば、読んで字のごとく室内塵そのものを指し、砂塵や繊維の屑なども含む。

要約すると、

  • ハウスダストとは、アレルギーの原因になる、部屋の中のホコリ、繊維のホコリ、カビ、ダニ、ヒトやペットの皮膚から出るホコリ

ということになるでしょう。

寝具は、繊維の塊です。生地、わたや羽毛が、多く使われます。ハウスダスト、が発生しやすい家庭用品なのです。

ハウスダストが発生しやすい寝具、具体的には、

  • 敷き布団
  • 掛け布団
  • 毛布
  • わたやそばがらの枕
  • シーツ、カバー、など

です。

使われている寝具の素材によって、ハウスダストが生じやすい、生じにくいはありますが、身近にあるお使いの寝具のほとんどが、原因となりうることががわかります。

ハウスダストによる、アレルギーの発生を少なくするには、寝具のお手入れと選び方に気を使うことが大切になります。

ハウスダスト対策の本題に入る前に、ハウスダストが多く発生する時期について、次の項目でお伝えします。多く発生する時期がわかれば、効率的に、対策をしていただけるからです。

寝具から発生するハウスダストの多い時期

寝具から発生するハウスダストの多い時期は、秋です。

理由は、梅雨時期に発生したダニが、3か月後、寿命となり、生息時のフンや死がいが、秋に増えるからです。

ハウスダストの中でも、ダニは、アレルギーの原因になりやすいとされています。そのため、秋は、ハウスダストに注意が必要となる時期になるのです。

先に引用した、ウィキペディアのハウスダストの定義でも、

ハウスダストアレルギーと言った場合、その実態の多くがチリダニ(House dust mite)の仲間の虫体および糞などが細かく崩壊したものに対するアレルギーであることが多い。すなわち、ダニアレルギーとほぼ同義である。
通年性のアレルギー性鼻炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎などのアレルゲンとして主なものである。

としています。つまり、ハウスダストによるアレルギーは、ダニアレルギーといっても過言ではないということでしょう。

鼻炎症状やくしゃみといった、ハウスダストのアレルギー反応を、少なくするには、寝具のハウスダスト対策を、秋になったら、特に、重点的にするのが有効になります。

ハウスダスト対策のための寝具のお手入れ方法

ここからは、寝具のお手入れでできる、ハウスダスト対策をお伝えします。

ハウスダスト対策の寝具のお手入れには、

  1. ハウスダストの原因を減らすための寝具のお手入れ
  2. ハウスダストの発生を抑える寝具のお手入れ

があります。

順にお伝えします。

1.ハウスダストの原因を減らすための寝具のお手入れ

寝具から発生する、ハウスダストの原因は、ダニの死がい、わたぼこり、カビ、繊維のホコリです。その原因を減らすための寝具のお手入れをお伝えします。

1.湿気をこもらせないようにします

ダニとカビの発生は、寝具にこもる湿気と、汗などの汚れが影響します。寝具の湿気対策を、きちんとしましょう。具体的には、

  1. 布団の敷きっぱなしをしない。
  2. 綿わたの敷き布団をお使いの方は、干すか、布団乾燥機を利用して、湿気を発散させる。
  3. 羊毛混敷き布団をお使いの方も、定期的に、干すか、風通しをするか、布団乾燥機を利用して、湿気を発散させる。
  4. ベッドの方は、朝の支度をする間だけでも、掛け布団を半分に折り、ベッドと布団の中にこもった湿気を発散させる。サーキュレータがあれば、あてる。
  5. 汗の多い時期は特に頻繁に、シーツや掛け布団カバーをして、汗がシーツにこもったままにしない。
  6. 毛布をベッドでお使いの方は、朝起きたら、掛け布団と一緒に半分に折り、通気をして湿気を取り除く。
  7. お布団で毛布をお使いの方は、定期的に、布団干しに干して、風をあてて、毛布の毛羽についた湿気を取り除く。
  8. 寝具用湿気取りシートを利用して、寝具の湿気を、吸湿するようにする。

などです。

とくに、布団の敷きっぱなしは、寝具の中に湿気がこもったままになりますので、避けるようにしましょう。敷きっぱなしにすると、寝具の中に汗などの湿気がこもるだけでなく、その下の、床や畳に湿気がしみて、接地面にカビが発生してしまいます。カビが、ダニのえさになり、さらにダニの発生を誘発しかねません。注意しましょう。

毎日、押し入れやクローゼットに寝具をしまって、湿気がこもる原因を作らないようにします。押し入れや、クローゼットの中の湿気が気になる際は、押し入れに除湿シートを敷いて、しまっている間も、寝具の湿気を吸い取ることをおすすめします。除湿機、サーキュレータを利用して、定期的に、押し入れやクローゼット内の湿気を取り除くのもよいでしょう。

2.わたぼこりがたたないようにします

繊細な羽毛をつぶさないようにして、ファイバーが出るのを防ぐ

繊細な羽毛をつぶさないようにして、ファイバーが出るのを防ぐ

綿のわたの掛け布団をお使いの方は、わたのホコリがたちやすくなります。また、羽毛布団も、雑に取り扱うと、布団の中の繊細な羽毛が壊れて、細かな羽毛の繊維、ファイバーとなって、空気中にまってしまいます。

  • 綿わたの布団を干すときは、布団たたきなどでたたかないようにします。
  • 羽毛布団は、布団の中の羽毛が壊れないように、やさしく取り扱います。
    ベッドではなく、お布団の方は、羽毛の掛け布団を押入れにしまう時に、ぎゅうぎゅうと力を込めてたたまず、やさしく折りたたんでしまうようにします。

2.ハウスダストの発生を抑える寝具のお手入れ

ハウスダストの原因になる、ダニやカビの対策をしていても、寝具から、ハウスダストが発生してしまうこともあります。寝具から、ダニの死がいやフン、わたぼこり、ヒトの皮膚などのホコリ、わたぼこり、繊維のホコリが、部屋の中に出ないようにする、お手入れも必要です。

具体的な寝具のお手入れは、掃除機で吸い取ることと、水洗いです。

1.布団用掃除機で吸い取る

寝具のお手入れでできる、ハウスダスト対策には、布団クリーナーが効果的

寝具のお手入れでできる、ハウスダスト対策には、布団クリーナーが効果的

布団やベッドマットレスを、定期的に、掃除機をかける。布団用掃除機や、布団用ノズルを使うと、効果的に、ホコリやハウスダストを吸い取ることができます。ここで吸い取ってしまえば、ハウスダストを抑えることに役立ちます。

羽毛布団をお使いの方には、注意点が、1点あります。

羽毛布団は、振動によって布団の中の汚れを吸い取るタイプの、布団用掃除機や、布団用ノズルは、お避けいただきたいということです。振動によって、羽毛が壊れてしまい、ファイバーとなり、ハウスダストになるからです。

羽毛布団は、丁寧に扱えば、羽毛が壊れず、ホコリの発生を気にする必要はありません。また、湿気もこもりにくいので、ダニやカビの心配もありません。布団用掃除機の使用だけ、注意するようにしましょう。

2.シーツやカバーをこまめに洗濯する

特にシーツは、清潔にしておかないと、汗で汚れたり、皮膚のホコリがついたり、ダニが発生しやすくなります。週に一度は、お洗濯をして清潔に保つようにしましょう。糸くずや、ホコリも、洗濯をすることで、心配がなくなります。

3.洗える毛布、洗えるベッドパッド、洗える布団を水洗いする

頻繁にする必要はありません。汚れが気になったとき、汗を多くかいた夏の終わり、ハウスダストのアレルギーが気になるときは、洗える寝具を水洗いしょう。ハウスダストの原因になる、ダニのフンや死がい、わたぼこり、不衛生な汚れも、水洗いで取り除く効果を期待できます。

鼻炎などの、アレルギー的な症状が気になり始めたら、寝具を清潔に保つお手入れをしましょう。

ハウスダストの発生を抑える寝具の選び

最後に、ハウスダストの発生を抑える寝具の選び方をお伝えします。新しく、寝具を取りそろえる際、買い替える際に、ご参考になさってください。

敷き布団

敷き布団は、毎日の汗の湿気がこもりやすい寝具です。湿気がこもりにくく、通気が良く、ホコリも立ちにくい敷き布団を選びましょう。

具体的には、

  • エアウィーヴの敷き布団やフロアー用マットレスタイプなどの高反発特殊繊維の敷き布団
  • ムアツ布団、ムアツスリープスパ、西川エアーなどの凹凸タイプの敷き布団
  • ロマンスエコーなどの、通気性の高い機能性敷き布団
  • ミクロガードやフレッシュプロなどの、アレルギー対策がされたアレルギーの方向け敷き布団

などです。

上記の敷き布団は、湿気を布団の中にこもらせにくいために、ダニやカビ対策がされているので、ハウスダストの原因を作らないようにしている敷き布団です。

掛け布団

綿わたの掛け布団は、湿気がこもりやすく、わたぼこりも立ちやすいので、避けたほうがよいでしょう。羽毛布団や、洗える掛け布団を選ぶようにします。洗える掛け布団の中には、わたの繊維が切れにくく、ホコリがたちにくい、特殊な化繊わたを使った商品もあります。

気になる方は、アレルギーの方用の、掛け布団を選ぶようにしましょう。

ハウスダスト対策のための枕は、次の素材がおすすめです。

  • 高反発枕
  • 凹凸タイプなどの、ウレタン素材の枕
  • ビーズやパイプ枕
  • ホコリのでない特殊な化繊わたを使った枕

など、ホコリの立たない素材を使った枕です。そばがらや羽毛枕は、ホコリやファイバーが発生することがありますので、ハウスダスト対策には、向いていません。

シーツやカバー

シーツやカバーも、生地の素材を選ぶことで、ハウスダスト対策となります。

1.アレルギーの方向けのシーツやカバー

超高密度におられたアレルギーの方向けの掛け布団カバーや、シーツが販売されています。具体的には、ミクロガードやフレッシュプロのシリーズです。超高密度におられた特殊繊維のカバーのため、ダニやホコリの出入りを防ぎます。

2.アレルギー向け以外の素材のシーツやカバー

アレルギーの方向けの商品でなくても、超長綿のシーツやカバーは、繊維が長い糸を使っているため、繊維のホコリが発生しにくい商品です。また、コーマ糸を使ったカバーやシーツも、生地を織る前に、糸をくし掛けすることで、細かない繊維を取り除いていますので、繊維のホコリが立ちにくい商品です。

シーツやカバーは、そのほかの寝具と比べより、買い換えしやすいので、アレルギーが気になる方は、まずは、シーツやカバーを取り替えてみるのもよいでしょう。

以上、寝具のお手入れと選び方でできるハウスダスト対策をお伝えしました。お忙しい毎日をお過ごしの方ばかりですが、定期的に、きちんと、寝具を清潔に保つことが、ハウスダスト対策になります。健康のため、ちょっと、寝具のお手入れに、時間を作ってくだされば幸いです。